「生活感がリアルで重い群像劇」恋人たち 月野沙漠さんの映画レビュー(感想・評価)
生活感がリアルで重い群像劇
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横浜シネマリンで2016/02/08に鑑賞。
タイトルからして恋愛物っぽいと思って観たら、それぞれ重い悩みを抱えた3人の生活感溢れる群像劇だった。
妻を通り魔に殺された男、篠塚アツシは基本的に真面目だし、妻を真剣に愛していたいい奴なんだが、相談された弁護士にとっては無茶な思い込みで無理な裁判を起こそうとする困った依頼人。篠塚アツシの職場の先輩の黒田大輔がいい人でこの映画の唯一の救いだったなあ。
弁当工場パート主婦の高橋瞳子は要領は悪いが誠実で人はいい。だが家庭に問題ありとはいえ、不倫して駆け落ちまでする寸前だったのに、その相手がシャブ中だと知るとしれっと家庭に戻る強かさも持ち合わせている。
若手弁護士でゲイの四ノ宮、彼は同棲している若い恋人をぞんざいに扱いつつ、高校の頃から好意を持ち続けている相手には迷惑をかけないように誠実に対応している。また精神状態が不安定だと依頼人にもぞんざいになったりするムラっけのある性格。3人の主人公の中では一番クズかも?w本気で好きな相手には誠実なのが唯一の救いかな?彼の生活環境も唯一、生活感ないし、他の主人公とはちょっと異質。
それぞれいいところもあるし黒い部分も持ち合わせている、そんな生々しい人間描写が良かった。
ラストもそれぞれの悩みがスカッと解決するような終わり方ではないけど、一筋の光のようなものを示して終わる。現実もそうなんだよね。やけにならずに地道に前に進むしか無い、きっとそれしか無いんだ、そう思わせてくれた。
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