劇場公開日 2015年11月14日

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「息がつまる」恋人たち あんこさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0息がつまる

2015年12月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

無差別殺人で妻を亡くし、毎日を生きるのが苦しい被害者遺族男性。夢とはほど遠い、退屈な毎日をおくる田舎の主婦。周囲から愛想をつかれるゲイのエリート弁護士。毎日を苦しみながら生きる3人のストーリー。

不器用な3人の負の日常のループ。加えて、何か不幸が重なり一度、階段から足を踏み外すと軌道修正を許さない社会。
自分自身が感じる今の日本の生きづらさや空気がそのまま切り取られていて、見ていてすごく息が詰まった。

悪い人じゃないけど気の合わない同僚、職場の程度の低いバカわらいと疎外感、変なトーンの喋り方……リアリティあるシーンが物語に現実味を与える。
俳優はこれが演技なのか、と疑うほど自然な語り口、ふるまい。聞き取れないセリフもあるほど。ドキュメンタリーを見ているような気持ちになる場面も。

橋口監督が描く繊細な空気感はヒリヒリ痛く、辛く。こんなに空気感というものが映像化できるのか、と舌を巻く。

繰り返し出てくるセリフ『くだらない世の中だけど生きていくしかない』これが映画のすべて。くだらない世の中だけど前へ進もう、いつもの優しいラストで救われる。

あんこ