「ちょっと、惜しいかな・・・。」恋人たち bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと、惜しいかな・・・。
CMの続きかな、と思っていると、いつの間にか本編が始まっていました。これから鑑賞する人は注意しましょう。
生きていく上でのそれぞれの苦しさを抱えた三人の三者三様の生き方を描写していくのですが、この監督本人が性的マイノリティに属しているせいか、その描き方にはどこか温かさがあります。唯一、違和感を覚えたのは、終盤、妻を殺された主人公が涙ながらに延々とモノローグを続ける場面です。もう、観客はこの主人公の気持ちは十分に判っている筈なので、冗漫であり、些か、興醒めでした。この場面は丸ごとカットしても良かったのではないのか、と思いました。また、この場面がなければ、☆は四つ半にするつもりでした。
さまざまに張り巡らされている伏線もうまく回収されていました。ただひとつ、判らなかったのは、階段で男性弁護士を突き飛ばしたのは誰なのか、ということです。私は一回しか観ていないのでそこらへんの消息がよく摑めませんでした。
最近は本当におカネを払って鑑賞に値する映画が少なくなりました。題材もやりつくした感がありますし、脚本もどこか既視感に満ちたものばかりです。映画界の将来は余り明るくない、年を追うごとにそのような感慨が強くなります。
私にとって、この秋、最大の期待作でした。若干、ケチをつけましたが、観る価値はある作品です。
コメントする