「マッツの美しさをひたすら愛でる映画になっちゃった」バトル・オブ・ライジング talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
マッツの美しさをひたすら愛でる映画になっちゃった
フランス語でがっかりした。原作から翻案した映画。クライストの『ミヒャエル・コールハース』はとても多く翻案・映画化されているようなので何語を話していてもそれは仕方ないと思った。ただ、かなり後の方でコールハースが若い牧師とドイツ語で話すのは唐突で背景がわからなかった。
翻案なのでカットや改変もあるし原作にないシーンもある。コールハースは信仰心篤く敬虔でルターに私淑していることは彼が聖書を読んでいる姿からもわかる。「ルターの介入」はあるが相手はルターでなく、神学者。二人で会話なり論争しながらも相手はルターではない。どんなにマッツの目が涙で一杯になってもオーラのない神学者の言葉は力不足だった。
コールハースが屋外で浴槽に浸かっているところに王妃が来て、浴槽から全裸のコールハースが出てくるのはマッツ・ファンのためのサービス?最後の最期、「覚悟はできた」と言ったコールハースの顔アップが続き斬首の用意がされる。シャツの首の布が裂かれ暗転して終わる。
フランスらしい穏やかな風景、コールハースの黒毛の馬はきれいに手入れされ栄養が行き届き美しい。神学者とコールハースの会話シーンは暗闇と蝋燭の明かりの中でレンブラントの絵画のようだった。理不尽に耐える姿が誰よりも似合うマッツを美しく見せる美術映画だった。
おまけ
「バトル・オブ・ライジング」というタイトルは一体どこから来るんだ?
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