「やや戸惑う物語。」パパが遺した物語 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
やや戸惑う物語。
明らかにタイトルと内容との差異に戸惑う映画である。
私もだったが「父と娘の感動物語」だと誰もが想像する。
事故の後遺症が残り破産寸前の父親と性行為依存症の娘
の物語だとは…まさかタイトルやチラシから誰も思うまい。
しかし、観る価値のない物語というわけではない。
おそらくは誰にでも起こりうる精神疾患や後遺症、その他
過去のトラウマに苦しんでいる人々の実状が描かれている。
父親と娘が、ポテトチップ!なんて言いながらふざけ合う
過去のシーンには目を細めるが現在では辛いことが山盛り。
トラウマを抱えながら心理カウンセラーをめざすケイティ、
幼い頃に母親を交通事故で亡くし、父親の方は重い後遺症に
苦しんでいた。治療に専念するため娘を義姉夫婦に預けた彼
だが、退院すると夫婦から冷たい仕打ちを受けることになる。
妹が死んだのは実は車内での口論が原因(夫の浮気)であり、
娘を自分たちの養女にしたいという。ハッキリと断った父親
だったが自身の仕事も上手くいかず破産寸前に追い込まれる。
その後、彼は著名な小説家として一編の物語を遺すのだが…
決して悪い父親ではないが、短気で病気を抱えているという
似つかわしい?役柄を、R・クロウが暖かく演じて好感度大。
ひきかえ珍しく魔性の女?のような役柄を演じたアマンダの
デッカイお目目で次々と男を誘惑する仕草も殊のほか上手い。
そんな彼女の魅力に惹かれ、彼女を愛そうとするA・ポールが
気の毒で泣けてしまうが惚れた女のためなら頑張れるのが男。
なぜ彼女がこんな風になってしまったのか?という謎は後半
やっと明らかになるが、そこまでの道のりが異常に長いうえ、
肝心のパパが遺した物語の中身が明かされないのはもどかしい。
(家族問題は本当に大事。どんな環境で育つかの影響は大きい)