劇場公開日 2015年10月3日

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「苦く苦しい物語。熱演が光る。」パパが遺した物語 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0苦く苦しい物語。熱演が光る。

2015年10月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

最初、ケイティの幼少期を演じる女の子(カイリー・ロジャーズ)が、じつに可愛い。
それだけに、次の場面、いきなり「25年後」に飛んで登場するアマンダのケイティが
なんと依存症気味に性行為に走る日々だというのが、衝撃的。

実際そういう人は少なからずいて、
リアリティに欠けるわけではないらしい。

ただ、
邦題から想起される一般的イメージとは全く異なる展開なので
要注意。

しかもその大人のケイティは、心理学を専攻して大学院にまで行き、
公的機関で子供のカウンセリングを生業としているのである。
もちろん頭では自分が自分の思うとおりになっていないことに問題を感じてはいて、
自分自身もカウンセリングを受けてはいるのだが。

それがあるとき、
両親を相次いで亡くして1年間一言も口をきかない女の子を担当することになり、
おそらくそれによって自分の過去を思い出し、語ることになり、
同時に自分にも向き合おうとするのだがなかなか思うようにいかず、

なおかつ
過去にさかのぼって語られる父親の苦闘もまた
病気やら経済的苦境やらでなかなかうまくいかず、

「世の中には、苦難と不公平がいっぱいあって、ときどきとっても辛い、でもそれに向き合っていかざるをえない」

光は、見える。
でもその先には、また闇が待っているかもしれない。
だがその光を求めて、生きるしかない。

「父と娘の絆の、涙の感動物語」では全くなく、
「父と娘、それぞれが、苦難に満ちた世の中でたたかう苦く苦しい物語」
だった。

ラッセル・クロウもアマンダ・Seyfriedも、
そして子役のカイリー・ロジャーズも、
熱演が光った。

島田庵