「1600キロの先には、きっと何かがある」わたしに会うまでの1600キロ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
1600キロの先には、きっと何かがある
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1600キロと言うと日本列島のおよそ半分。
その距離に該当するPCT(パシフィック・クレスト・トレイル)と呼ばれる長距離自然歩道に挑戦する女性。
サイズの合わない靴に足を痛めながら。
詰め込み過ぎた重たいリュックをやっと背負いながら。
ほぼ一人旅。話し相手もおらず、道中心の中でブツブツ独り言、毒舌、悪態。
灼熱の荒野もあれば極寒の雪山も。
何故、こんな事をしているのか。
動機は説明されず始まるが、時折挿入される回想シーンから徐々にその経緯、背景が分かってくる。
夫を裏切った。
クスリに溺れた。
これだけならただのビッチ。
自暴自棄になったその理由。
最愛の母が居た。
明るく優しく、溢れんばかりの愛情で包み込んでくれた母の死に耐えきれなかった。
母が誇りに思ってくれた自分を取り戻す為に…。
実在の女性シェリル・ストレイドの自伝。
自ら立ち上げたプロダクションでプロデュースも兼ねて主演。
リース・ウィザースプーンの熱演と意気込みには、オスカーを受賞した「ウォーク・ザ・ライン」を超えるものを感じた。
母親のローラ・ダーンも劇中のヒロインさながら忘れ難い。
これまた邦題が良くない。
これじゃあハートフルな作品と勘違いしてしまう。
「ダラス・バイヤーズクラブ」の監督、ウィザースプーンとダーンがオスカーにノミネートされた力作。
単なる生温い自分探しの旅じゃない。
何度も辞めようと思った険しい道は、これまで歩んで来た悲しみ、苦しみ。
1600キロの先には、きっと何かがある。
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