劇場公開日 2015年8月28日

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「人生には苦しいこともあるけれど。」わたしに会うまでの1600キロ 由由さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人生には苦しいこともあるけれど。

2015年9月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

DVの夫から逃れ、自分のやりたいことよりも二人の子供を育ててきた母親。そんな最愛の母を、病気で亡くし、薬物に手を出すなど自暴自棄になっていたシェリルが、PCTに参加して1人で1600キロを旅する。
大切な人がいなくなる喪失感は、それほど大きいものだと思う。そんな感情をコントロールすることは難しく、だから彼女にとってこの旅が必要だったのではないか。彼女の母親は生前、日々の生活の中で、美しい景色を見ようとしていた。同じように、シェリルも自然に身を置くことで、母親を感じ、悲しい気持ちを癒すことができたのだと思う。彼女は、PCTを終えた後の人生を、今までとは変えることができたのだろうと思う。
彼女が行く道の途中で出てくるキツネが神秘的で、彼女にとっては、自分母親をつなぐように感じられたのではないか。旅は過酷で、危険であり、孤独と不安が付きまとうものであることがよく分かり、私は絶対無理だし、やりたくないけれど、だからこそ、彼女にとって、母親の死がどれほど辛いものだったかを想像する。

由由