「会議で結論を出すのは明治以来の日本の伝統」シン・ゴジラ ぐちたさんの映画レビュー(感想・評価)
会議で結論を出すのは明治以来の日本の伝統
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登場人物が多く、肩書きが長く、会議が多い。
登場人物の肩書きは、姓名と合わせて「内閣官房副長官(政務担当)」、「内閣官房副長官秘書官(防衛省)」というように矢継ぎ早に字幕で示される。読み取るのに努力を要する。
会議の名称は例えば「アクアトンネル浸水事故及び東京湾における水蒸気爆発に関する複合事案対策会議(第1回)」である。読み取れない。
あわせて「里見農林水産大臣は豪州外遊中のため、不在」という字幕が出る。その情報は必要か。
緊急時に日本は会議をする。
総理大臣というトップがいても、一人の人間に責任を負わせず、会議参加者の総意として結論を出すのが明治以来、太政官以来の、太平洋戦争の敗戦を経ても変わらなかった日本の伝統である。今後も会議は開かれ続ける。
自衛隊はゴジラの活動を止められず、米軍爆撃機の攻撃も効果は不十分だった。ゴジラに対する多国籍軍による核攻撃が迫る中、「巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)」が練り上げたヤシオリ作戦によってゴジラ凍結に成功した。
省庁横断でとんがったヤツらを集めて短期間でチームを編成する。そのチームが出してきたプランを採用して危機に立ち向かう。役所にそんなことができるだろうか。できればいいが。
初見。新型コロナウイルスがどこまで蔓延するのかわからない状況の中で見た。
「ゴジラ」であるから、物語は予定調和的に収束するであろうと予想して、安心感をもって楽しめる。しかし新型コロナウイルスはフィクションではない。
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