「庵野の作戦笑える」シン・ゴジラ エイブルさんの映画レビュー(感想・評価)
庵野の作戦笑える
ゴジラ出現を受けた政治エリートたちの葛藤と執行とが中心に描かれ、「エヴァンゲリオン」にあったような自我の混乱と救済、とは掘らないまでも、新(真?)ゴジラ像=新(真?)日本人像を模索し、ひとつ希望を指し示す結果となる、一本通ったシンプルな流れは、案外質素でわかりやすく、面白かった。
国のトップ組織周辺の、丁々発止・けんけんがくがくの議論重ねる描き方は、もちろんエヴァを彷彿とさせるものだったが、情報やりとりのマンネリと、べたっと平面的な構図の画面が続き、途中で飽きを感じざるをえなかった。この点の緊張感を演出する手法は、やはりアニメ畑の限界だろう。原田眞人版「日本のいちばん長い日」のそれを思い出したもの、情報の種類と量・カットの構図ともに遠く及ばないのは残念。
「ゴジラ」のアイデアは素晴らしく、「エヴァンゲリオン」は素晴らしく、どちらをも同時に彷彿とさせるだけで、好き者には嬉しいのだろうから、そうしたマニアックな映画としてとどまるかもしれないところを、突き抜けた点があった。ゴジラをいかに倒すか、その作戦がじつにユニークでどこかレトロで、コミカルですらある。この作戦のユニークさは、エヴァにもあったが、しかし観客の誰彼問わず面白く、初めて触れる人にも支持を得たのではないか。庵野監督の手腕にわくわくさせられた。
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