「オタクに媚びて承認欲求をくすぐるだけの浅薄な映画」シン・ゴジラ ヒトカゲさんの映画レビュー（感想・評価）
オタクに媚びて承認欲求をくすぐるだけの浅薄な映画
ゴジラシリーズの今までの凡作・駄作の数を鑑みれば、映画として平均程度の出来栄えになっていれば特撮ファンとしては絶賛を以て迎えようと思っていたが、現実は無残なものであった。
なるほど映画を何かとても崇高な物だと思っていたり、自分は特別だと思っている層には、難解な専門用語が飛び交う会議シーンに高揚感を覚える事は、自らの価値を相乗的に高めていると錯覚させてくれる格好のデバイスだろう。
「凡人には分からない会議シーンの良さは自分のような選ばれた人種が認めてあげるんだ」と。
『リアリティ』を言い訳にして、ここまで手を抜いた会話シーンをよしとする監督の作家性と、そこを何故かとても好意的に解釈するオタクファンの思考には全く共感する事が出来ない。
CGの出来もひどいもので、ゴジラの全ての形態において体表のディテールもモーションも作り物感丸出し。
第二形態の体液や、第四形態の足運びなどは噴飯物である。
ギャレス・エドワーズ版のゴジラで散見された「暗くてよく見えない」と言う不満点に対抗して昼間のシーンを増やしたのかもしれないが、夜のシーン、それもハイライトになるはずの放射熱線撒き散らしシーンでさえ閉口するような出来栄えなのだから、もっと上手く技術力のなさをカバーできなかったものか。
ハリウッド並までは不可能だし望んでもいないが、せめて邦画と言う枠の中ではある程度上位に来て欲しかった。
ある意味では特撮のチープさは旧ゴジラ(特に平成VS)シリーズらしいとも言えるが…。
また、劇中あれだけエヴァンゲリオンを意識した演出でエヴァンゲリオンファンに、伊福部音楽で旧ゴジラシリーズファンに媚を売っておきながら、「私はやりたいようにやった」と言うセリフを作中の登場人物に言わせて逃げを打つ姿勢もとても不快である。
監督として世に出す作品に対してこうも責任の放棄をされては出来上がる作品がこの程度の出来栄えなのもさもありなん。
最後の尻尾を意味ありげに映すシーンも、謎を残したまま終わればファンが勝手に誇大解釈をしてくれる事を期待しているようにしか見えなかった。
絶賛意見の傾向から見るに、
普段邦画は見ないのに「邦画は終わっている」と勝手に決めつけ、数少ない名作を見つけた気分になりたい人、
恋愛パートや人間ドラマが存在するだけで苦痛に感じる非リア、
自分は特別な審美眼を持っていると思っている人、
安易なプロバガンダに影響されやすい人にとっては名作になるのではないだろうか。
なぜかわざわざ放射性物質を異常に短い半減期に変換してくれるゴジラをとりあえず凍結させただけで、日本に対する前向きなメッセージとして受け取っちゃう前向きな人もいるんだなぁ。
「ゴジラシリーズの今までの凡作・駄作の数を鑑みれば、映画として平均程度の出来栄えになっていれば特撮ファンとしては絶賛を以て迎えようと思っていたが、」
「特撮のチープさは旧ゴジラ(特に平成VS)シリーズらしいとも言えるが…。」
シン・ゴジラのレビュー（僕は低評価だが）如きで、過去作品を馬鹿にされる言われはない！と思うが？
同感です。過去の名作に対する敬意もなく、かといって「絶対に過去のものよりも面白いものを作ってやる」というプライドも感じられず、ただゴジラという遺産を利用しただけの同人映画でしかない。ゴジラの名前を、こんなことで使い潰したこの監督と東宝には怒りを通り越して呆れ果てるしかありませんでした。
こんにちは、いろいろ不評のご意見を拝見いたしますが、どうも腑に落ちぬところがあります。
前提として、この映画の世間の評価は好評です。二十億は超えたそうですが五十億ぐらい行くかもしれません。そうなると今年の邦画１位にも成りそうな勢いです。普通に見て高評価八割、否定的二割でしょうか。
否定的な意見として多いのが、エヴァに似てる、次に多いのがVFXがダメ。
このVFXは、白組と言う「永遠の０」「三丁目の夕日」等をやったチームで日本でトップクラスなのだそうですが、それ程酷いモノなのでしょうか?
エヴァに似てるに関しては、元々監督の考えたウルトラマンVS怪獣がエヴァなのでゴジラが使徒のようになってるのは個人の好みなので受け容れられる、られない。はあるでしょうが、日本のVFX技術ってそんなに酷いんでしょうか。
I♡Movieさん
ほとんど全ての映画の演出は、過去の作品からのオマージュです。つまりあなたの知らない演出も昔の作品のオマージュなんです。例えば、少し前だとマトリックスの格闘シーンを意識してないアクション映画はないなどなど。
さらにシリーズものとなると過去作を意識して作らないわけがありません。
音楽だけで初代オマージュだとか言ってる人はそもそもゴジラをあまり知らない人だと思います。映像あってのBGMです。ちゃんと意味があってそのシーンに使用してます。
媚びを売ってる訳でもなく、監督が好きな演出が、みんなが知っているものと被っただけです。これは全ての映画において言えることです。
最後に、映画を面白いと言っている人を卑下する権利はヒトカゲさんにはないです。そういった事しか出来ない人こそ井の中の蛙であり、狭い了見でしか物事を計れないエゴイストだと私は思います。
本レビューに対してのコメントが抜けてましたすいませんw
エヴァファン、ゴジラファンに過去の音楽等を使っての演出は媚び売りの何物でも無いですよね笑あれで初代リスペクトだろぉ？とか言われても…じゃあ誰だってどんなシリーズだって過去の音楽流せばいいんじゃないかと思いますよ笑スマホでユーチューブ開けば誰でも聞けちゃいますよ
横から失礼いたします
本作に低評価をしたゴジラファンです
僕はa7aさんのおっしゃる
一般に評価の低い子どもだましのシリーズが許容するというタイプに正に一致します。
それ自体は悪いこととも思ってないし、みなさんに過去のシリーズ面白いよ見なよ！等と強要する気もありません
何が言いたいかと言うと
過去のシリーズが嫌い、子どもだましでつまらないと感じるのは結構ですがそれらを決して軽んじないで欲しいということです。
確かにゴジラのほとんどは子どもだましの娯楽作です
しかしそれらが脈々と続いたからこそ今日のゴジラの人気、知名度があるのです
それら低評価の作品たちを庵野、樋口監督が見て育ち、多大な影響を受けたからこそ、今日の特撮という文化があります。それらの歴史があったからエヴァが生まれ、シンゴジラが生まれたのです
過去のシリーズをつまらないと感じるのは結構ですが、それらゴジラの60年の歴史を小馬鹿にし、駄作と一蹴するのはどうかしないでほしいと願います
私の周りでも絶賛しているのはヒトカゲさんの仰る人物像に当てはまり、
日頃映画館に行かないが、思い返せばシンエヴァも熱く語ってたなぁ的な
ノイジーマイノリティー達で、いつまでも飽きずにシンゴジの良さを解る
自分たちは素晴らしい()と庵野談義をしているので、家族連れで行ってしまい
悲惨な休日を過ごした派と、シネマ会員になって新旧問わず観ている派は
苦笑いです
酷評意見の傾向から見るに、
一般に評価の低い子供だましのゴジラシリーズは許容するのに「（俺の見たかった）ゴジラはこんなのではない」と勝手に決めつけ、ゴジラを取られたと感じる人、
恋愛パートや人間ドラマのシーンさえあれば、満足してしまう単純な人、
自分だけがゴジラを理解していると思っている人、
政治的な意図を勝手に妄執し、すぐにプロパガンダとか言っちゃう人にとっては駄作に見えるのではないだろうか。
商業主義の公開作品だから、好き嫌い、良い悪いと作品を批評することには文句ないが、
他人の意見を見てそれが理解できないからとそれらの人物を推し測り妄想を吐いてしまう醜さですなぁ。
会議シーンは難解でもないですよ
一回目見たときは早口すぎてついていけませんでしたが、二回目みたら専門用語が飛び交うというよりはとにかく早口なんだなーという印象。
非リアではありませんが、あの手の映画を人情にまとめないのは斬新だったので、感動しました。
それに人間ドラマがないわけではありません。プライベートな家庭や恋愛だけではないのです。仕事においてももちろん人間ドラマはあります。ハリウッドのようにわかりやすく描かれてはいませんが、この映画にもそれがあります。
関わる人全てのゴジラをなんとかしたいという熱意、苦悩。臨時総理が頭を下げているシーンは日本人らしくて良かったと思います。
確かに映像のクオリティは海外に比べたら劣ります。
でも海外とは桁が違う予算でよくやったなと思います。
政治を取り入れたからといってプロパガンダだとも言えないですね…
言葉は強いですが、政治のことを言うとやれ右翼だなんだと思ってしまう政治アレルギーだと思います。政治家を描いたお仕事映画でしかないでしょう。
