「簡単に思えるストーリー。考えると深い」バケモノの子 B_ertenRyuさんの映画レビュー(感想・評価)
簡単に思えるストーリー。考えると深い
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非常に良かったと思います。
細田守監督の作品は全て観てきましたが、今回のはストーリーの大筋はわかりやすいものでありながら、細かいところの解釈がふかく、楽しいものだと思います。
母親が亡くなり、孤独を感じる蓮(九太)
九太の心の闇は何だったのでしょう?
父親に捨てられた悲しさ?憎しみ?
周囲の人間に対する嫌悪感?
そこは色々ないまぜになってたのでしょうか?
そして、なぜ白鯨だったのか?
白鯨は、この映画では、復讐の象徴だったのではないかと思います。
船長が白鯨に抱く復讐の感情。一郎太の心の闇が鯨だったのは、その闇が、半端者のクマテツや人間風情の九太に父を倒されたことへの復讐心だったからでしょう。
心にある刀とは、父親の支えでしょうか。父と子の絆。たとえバケモノでも、育ててくれたクマテツが九太を支え、強い心で悪(復讐心)を返り討つ。
しかし、単にそれで終わらせずに、楓が自分にくれたお守りを渡した。それは、今後は闇に囚われるなよと伝えているかのよう。
人の心の闇がバケモノより深いのは、人は複雑な人間関係に身を置き、また、色々考えてしまうから。親の期待に答えねばとする楓も、それゆえに心に闇を抱えていました。自分とはなんなのか?本当は何がしたいのか?人間なら誰しも一度は持つであろう深い悩みです。
ストーリーの軸は、父と子の絆を描き、一人の少年の成長だろうけれど、色々なところで、それだけに終わらせないものだと思いました。
ただ、楓の声は少し拙い感じはしましたかねー。気にするほどではなかったですが。
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