「もちろんいいところはいっぱい」バケモノの子 ニッキューさんの映画レビュー(感想・評価)
もちろんいいところはいっぱい
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でも細田作品で自分が一番乗れなかったのも事実。
あいかわらず企画が素晴らしい。
作画やデザインもさすが。一瞬しか映らなかった各バケモノの街の外観がなんて魅力的だったことか!
実の父親が蓮を思い出す演出もいい。蓮が左にフレームアウトした直後、同じ左側からフレームインしてきた子供たちが父親の横を通りすぎた瞬間に気付くのは画的に説得力がある。
問題はそういう言葉に頼らない演出とは裏腹に説明台詞があまりに多かったこと。
「お母さんは事故で亡くなったんだから」や「いま来た道がない」のあまりに直接すぎるものや、何より心情を台詞で語りすぎるためどんどん類型的に見えてきて生きたキャラクターだと思えなくなってくること。
結果あれだけ魅力的なバケモノの街や写実的な渋谷の街で大騒ぎが起きても「まあ作り話だし」と鼻白んでしまう。
そしてなぜ闇を抱えた人間があれほどの力を持ってしまうのか、猪王山がなぜあれほど熊徹が九太を弟子にとることを止めようとしたのか(一郎彦の闇を嗅ぎとってた? にしてはほったらかし)などは説明されないので後半話に乗れなくなってしまった。
今回奥寺佐渡子は脚本協力だけになってたが、初稿は奥寺佐渡子が書いてそれを連名で詰めていく方がいいのではなかろうか。
や、いいところいっぱいなんですよ!
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