「同時代に生きている喜び」バケモノの子 showさんの映画レビュー(感想・評価)
同時代に生きている喜び
「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどものあめとゆき」と、
新作が公開する度にクオリティの限界まで挑戦しつづける細田守監督。
その最新作を、
TOHOシネマズ六本木ヒルズの満席の劇場で鑑賞。
客層は、小学生くらいの子どもとその親、カップル、老夫婦、20〜30代のお一人様など、あらゆる層で席が埋まっていました。
感想は…、同じ回を観たお客さん全員に聞きたいくらいに、観る側の受け取り方によって印象が変わる作品だと思います。
自分の感想は、つっこみどころ・疑問点は大小あるにせよ、概ね大絶賛。ってところでしょーか。
言っちゃうと、細田監督の新作を映画館で観れただけで大満足なんです。
序盤の渋谷のシーンは、映る人が全員動いているし、建物の配置や汚れ感もそのままだし、現実以上の現実感は半端ないです。
あのシーンって、ここでロケしてたよね?あの入り口って、あそこのアジア料理屋の傍だよね?
と渋谷を歩く際に、ロケ地探しが楽しくなりそうです。
二幕目は細田監督にしては珍しく、思い切りファンタジー路線に振り切っていて、
いつもいつもチャレンジをし続ける人だな、と感心してしまいました。
三幕は、細田ワールド全開!
青春の瑞々しさ・苦さの一片を切り取る作家性に涙涙。
こんなの観たことないと驚いてしまうダイナミズムに富んだ絵作りにボルテージ沸点超え!
最後はもう、満面の笑みで劇場をあとに。
…とまあ、大興奮・大感動・大満足しておいて言うのもなんですが、
作品全体としてのまとまりはあまりなく、
映画よりもテレビシリーズのほうが向いていたかもしれません。
あと、エンドクレジットはミスチルじゃないほうがよかったかも。劇中曲のインストの方が良くない?
とはいえ、ディズニーもジブリも長編セルアニメーションを作れなくなってしまった今、
このクオリティの漫画映画を観れること自体が奇跡的なことですし、
ぜひとも映画館で観て欲しい作品です。