あんのレビュー・感想・評価
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登場人物が生きている
この映画の良さを長々と説明するのは難しい。
でも、一言で表すなら「登場人物がちゃんと生きてる」からです。
演技が上手なのは当たり前にあって、所作や佇まいがその人物そのものだと思いました。
樹木さん演じる徳江は、あん作りを50年していましたが、そこに違和感が全くなく、むしろ50年やってきたとしか見えない職人芸に魅了されました。
この「あん」やハンセン病に嘘が感じられず、映し出される四季がきれいで、この映画の世界に見入ってしまいました。
この映画は、映画に出てくる「あん」そのものだと思いました。ひとつひとつの過程をきちんと丁寧に作り、あずきの声を聴き、決して手を抜かない。
そうして出来上がった物が、味わい深い物になるのだなと思いました。
簡単にこんなもんだろうと作って出来るのが「業務用のあん」で、今まで業務用のあんのような映画をたくさん観て来ました。
なので、一見地味で単純なストーリーなのに、奥深さが全く違うのを感じました。
余計なものがなく、足りないものがなく、それを自然に作れるのがすごいと思いました。
本物の世界でした。
理不尽な境遇にも一条の光がまぶしい
他者から自己に向けられる理不尽さや不条理な制限があるならば、それを苦々しく思いながらも受け入れなければ一条の光が射すことはないのかもしれない。と考えさせられる深いテーマに共感の涙が止まらなかった。他人にはなかなか打ち明けられない苦悩を「あん」を縁に、境遇の違う者同士でも理解しようと努めてくれる人の存在を感じられるだけで自信のない心から一歩でも踏み出す勇気になるのだと教えられる。自分を救いようがない境遇だと思い込み何もしない事より純粋に求める対象に向き合うことが大切だと樹木希林さん演じる徳江さんの笑顔に気づかされる。何かを与えようとした相手から逆に多くの何かを頂いていると気付き感謝する時にこそ再生の光が射すのかもしれない。日本では古くから「あ」は始まりであり「ん」は終わりを表わすと云われてきたけれど、この作品では毎日の「あん」作りで心の再生が繰り返される。生死を超えた永遠の命を「あん」を通して感じる時、自らの命も救われ喜びに笑顔が自然に溢れる。その美しさ、尊さを本作は見事にとらえている。
永瀬正敏さん演じる店長さんが勇気を持って最後に叫ぶ「どら焼き、いかがですか〜」の声に涙が止まらなかった。樹木希林さんの多くを語らない、その佇まい、表情に心底、胸を打たれた。「あん」は優しく勇気を持つことを教えてくれる本当に心が温かくなる映画でした。
どこを切り取っても美しい
人の心の中の天国のような場所
この映画を見て、映画って何だろうと初めて考えた。感想がなかなか出てこない。途切れ途切れに言葉が浮かぶが、なかなか繋がらない。もし、人の心の中に天国があるならば、彼女のような柔らかい、でも計り知れない厳しさを内包した、薄ぼんやりと、控えめに、でも確かな現実の記録として、世界を照らす、そんな場所ではないだろうか。こんな人が近くにいて欲しい。.....人はやはり、人によって自らの心の檻から抜け出す勇気を与えられる。人に出会い、新しい光を知ることができる。「世界は思ってたより、悪くなかった、むしろいいところだった」と気づく。.....こんな人が、自分の中にいてほしい。樹木希林さんが演じる、普通人は歩かない、闇の中ばかりを、沼の中ばかりを歩かざるをえなかった女性の、発光するような純真さ、無邪気さは天使そのもののように映った。映画を見るまでと見た後では、明らかに少し違う、明るい方向を目指す自分がいる、そういう余韻が、映画なのだと教えてくれた。
映像はきれい。
映像がきれいだった。光の柔らかさ、空気感が写っていてそこは良かった。
最後の永瀬正敏の表情もすごく良かった。
が、ハンセン病に対し、あんな極端な反応を今の社会が示すだろうか。
名前は知ってても患者を隔離したような時代を肌で知っていて、浅田美代子のような反応を示したり、あんなに繁盛していた店が閑古鳥になるというのは、大袈裟すぎると思う。
そして何より、樹木希林の孫娘が大根すぎ。
棒読みだったり、台詞を発するだけでその場の雰囲気をぶち壊し、表情まで極端で…
河瀬監督のはよく分からないと思うことが多かったけど、これはそんなことはなかっただけに、重要な登場人物となるわかこちゃんは別の人が演じた方が良かったと思う。残念。
陽の当たる場所で生活したい
「私達、誰にも生きる意味がある。生きる意味を見つけるためにも、陽の当たる場所で生活しなさい、あなた達」。てな感じのことを、15回転毎分くらいの緩〜〜い語り口で伝えてくれる映画。
「あなた達は私に、生きる意味を見つける時間をくれました。ありがとう」
みたいなことを希林さんが語るんですが、こうにしか聞こえない。
「女優として陽の当たる場所を与えていただいたおかげで生きる意味を見つけることが出来ました。みなさん、ありがとう」
ただでさえ泣かす映画なのに、このシーンは反則でしょ。希林さんの表情も素晴らしく晴れやかで美しくさえありました。
そうか、だから万引き家族の海水浴のシーンで希林さんは、「ありがとうございました」って言ったんだ。。。と、ここで思いました。
希林さんが登場すると場の空気が彼女のものになる。漏れ出すようなセリフ一つで観客を笑わせてしまう。この芝居が、もう見られないのかと思うと目頭がアレになってしまいナニが滲む。笑ってんだけどね。変な気分だよ全く。
樹木希林さん
たくさんの、心に残るお芝居、ありがとうございました。心からご冥福をお祈りいたします。
追悼上映に、この作品を選んだ劇場にも感謝します。上映当時は、個人的に苦手な類であったため見逃していました。映画としても良く出来ていたと思いました。
悲しい物語
生きる意味
久々の邦画で大満足
風評被害、ダメ絶対
前情報なしで見ました。
勝手に3人の孤独な人たちが出会い、日々の苦痛とかを癒していく話かなと、、想像していましたが。
全く的外れではなかったですが、ハンセン病に関しては重すぎました、、。なるほど、この話はそこまで突っ込みたかったのか、と。人々の意識を変えるための映画だったんだな。
樹木希林がまた上手すぎて。自然すぎて。あのハンセン病の方々の虚しさとか諦めに似た笑顔が堪らんかったですな、、。ワカナちゃんのあの独特な感じもなーんか良くて、新人女優さんかな〜と思ったら樹木希林のお孫さんなんですねー。良かった。
永瀬正敏も良かったわ、、。何あの泣き方。何あの表情力。いい俳優さんです。
ラストシーンについて。あれは正直やらせすぎじゃないかと、思ったりもしたんだけど、あそこまで表現しないと一歩踏み出した感が薄れるのかもと思ったりして。永瀬正敏にとって母の再来とも言えますからね。
序盤のシーンでは本気でどら焼き食べたくなります。てか食べます。美味しいあんこが食べたくなる。
西武新宿線、東村山あたり
桜がきれい。
国立療養所多磨全生園があるからそこで撮ったということか。
東村山市協力。
千太郎の夜のアパートのシーンがいい。
ずっと呼び込みしなかった理由がラストシーンに。
エンディングもいい。
自由焦がれたとはいえ、カナリアは外に放してはいけません。
浅田美代子がいけずの役とは珍しい。
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