あんのレビュー・感想・評価
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樹木希林が凄い
タイトル通りの感想につきる。
監督の撮り方は女性的で素人っぽかった。狙いだとしたら吉と出たかどうか・・
風景にしてももっと綺麗な撮り方ができなかったかなぁと感じた。
その分の0.5減点。
しかし樹木希林の芝居が全ての粗を消してくれた。
徳江さんがあまりに無邪気で愛らしくて優しくて
店長にあんの作り方をおしえてるときから涙が止まらない。
何の涙か分からないが止まらない。
鼻水も出てきてわけわからない。
その先を知ってたからだと思うけど、にしても樹木希林の芝居が良すぎる。
勘弁してくれと言いたいくらい。
あんな芝居する人世界のどこ探してもいないと思う。
施設で再会した時の徳江さんの「楽しかったぁ」で涙腺崩壊でした。
観終わった後の徳江ロスがひどいです。
樹木希林がバラエティかなんかで現実とのギャップでも見せてくれたらロスから解放されるかもしれないがそれも叶わない今、当分ロスから抜け出せそうにない。
それだけ樹木希林の芝居は残る。
観てよかったのか?と自問するくらいです。
人生の最大の輝かしい時間
随分以前に映画館で鑑賞して結構感動したのに、
なんでかレビューを書かずにいました。
他のレビュアーさんの感想を読んで
ああ、そうそう!!と思い出した次第。
映画の記憶はかなり薄くはなっているのですが
印象に残っているのは
樹木希林さん演じる徳江さんが本当に楽しそうに
餡子を炊いていたこと。
物語の後半、同じ隔離施設の
市原悦子の演じる友人が語る徳江さんの半生が
胸に迫って来る。
狭い施設の中で時々は餡子を炊いて
周りの友人達はきっと喜んでくれたのだろうけど
自分のできる最大の特技をやはり施設の外でも
試してみたい!と思うのはとても自然な事。
あの短い時間は徳江さんの人生の
唯一の輝かしい日々だったのかも(涙)
徳江さんの生きる喜びや張り合いを奪ってしまう
一般人の「無知」による「差別」の
なんと恐ろしく罪深いことか~~。
ぜひ、ご覧になって下さい。
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
色んな方のレビューを読んで
中身がないとか、話は退屈とか、お涙頂戴とか
書いてる人がいて、そこは個人の感想ですから
私なんかが文句を言う筋合いでは無いけど
ちょうどコロナに全国民が苦しんでいる今、
コロナに罹った人々がその後、
社会から差別を受けたとしたらどう思うのだろうか?
本人の責任でもないのに病気にかかったというだけで
人生の大半を限られた空間に閉じ込められて
子供を持つことも許されず、職業の自由も無く
死ぬまでそこだけで暮らさなければならないとしたら?
そういう想像力と共感力は失いたくないですね。
どら焼き
魂が手をつないでいるよう。
無知はなんて愚かな事
このどら焼きを食べたくて仕方ない
樹木希林と永瀬正敏の演技がすごい。。演技を超えてるというか、魂のまま(良心のまま)に演じればこうなるのかなと思った。
浅田美代子はこの役やるのも嫌だったんじゃないのかな?てくらい憎い役だわ!今どきこんな差別だらけの無知な人いるかな…。
「よく分からないけど」と主観で差別を押し付ける。無知、それが差別意識の根源!勉強すればハンセン病は何も恐れることは無いと分かるのに。療養所の近辺ににこんな無知な住人居るのかな。
全生園は看護学生の頃に授業の一環で訪ねたことがある。映画の随所に緑豊かな全生園の風景が散りばめられており懐かしかった。本当に空気の透明な楽園のような所。桜の時期に花見に行きたいな…
最後の「どら焼きいかがですか」は徳江さんに呼びかけていると思う。
人の優しさと怖さを感じる作品
圧巻の演技、泣けます
なんでだろう、意味なく、涙が枯れるほど、泣いたんだよ!
やっと観ました。
もう2年近くになるんですね、樹木希林さんが亡くなってから。市原悦子さんも昨年初めころでしたっけ?!
本当にいい女優さんを失いましたね、日本映画界は。
追悼上映として映画館で再上映された際、不覚にも何か見たい映画と重なって見落としてましたし、できることなら映画館で、と思ってましたがそれが逆に災いしてTV放映もスルーしてしまいやっとVODで観ることができました。
「店長さん、美味しい時は笑うんですよ!」店長とともに涙してしまいました。
徳江さん(樹木希林さん)のセリフ
「私たちはこの世を見るために、聞くために生まれてきた。だとすれば、何かになれなくても、私たちには生きる意味があるのよ」深い言葉です。
ここ最近の自粛警察ではないですが、人間の中に巣食う黒い心、
どら焼き屋の経営者の奥さん(浅田美代子さん)が発する「よく知らないけど、らいらしいわよ」のような何気なく出てくる偏見や差別が今のご時世においてとても胸が痛み考えさせられます。
感動とはまた違った感覚ですが心震えるような素敵な映画でした。
色々と深い想いはありますが、何しろ樹木希林さん、永瀬正敏さんが役柄ではなくそのままのドキュメントのごとく感じてきました。
それくらいお二人の演技が素晴らしいということの証明なんでしょうね。
『日日是好日』でも淡々と進むお話の流れに逆に感銘を受けたこと思い出しました。
なんだかすさんだ心持ちになりがちな今日この頃、多くの方に観てほしいと心から思いました。
ささやかな そして 確かな幸せ
父親を看取り 落ち着いた頃、母と気晴らしに映画を観ようと訪れた映画館で樹木希林さんの追悼ということで「あん」を上映していた。本当は「コーヒーが冷めないうちに」を観ようと思っていたが、母が観たいというので「あん」にした。
樹木希林さんは本当に素晴らしい女優だった。思えば 樹木さんの映画作品を観るのは初めてだった。
彼女が 持て囃される(た)のは当然だと その存在感と繊細な演技力に 唸った。
惜しい。残念。まだまだ、たくさんの作品を見たかった!
樹木希林さん演じる徳江が 愛おしげに小豆に話しかけ 繊細に大切に小豆を「あん」に仕上げていく様が 優しい視線で描かれる。あんの美味しそうな甘い香りがしてきそうだ。
この物語は ハンセン病のために 一般の社会から隔離された場所に住む事を強制され、差別され生きて来て、やっと その政策が間違いと是正されたため、外に出られるようになった徳江が、その日暮らしの惰性で生きていた千太郎の人生に 味や色を与えていく…
私は ハンセン病がどうとか そういう事より 徳江の ささやかな事への喜びの姿を この映画は伝えたかったのではないかと思った。
桜を見て 愛おしげに微笑む。餡の煮える音に耳を傾け 満足げに喜ぶ。若い子と楽しげに話す。
なにより働くことを 楽しむ!
そして 徳江は言う。
「人は この世界(の美しさ)を見る(聴く)ために生まれて来たのよ」
胸が いっぱいになった…!
私は 他人のために何かしたいと思うような立派な人間では無い。せいぜい迷惑掛けないように生きている。だけど…
この世界は美しさに溢れている。だから 出来るだけ見たい!聴きたい!と思って生きて来た。わがままな生き方かもしれない。
でも 徳江のこの言葉で 肯定してもらった気がした。
人は何のために生まれて来るのか?大きな命題だ…。もし、徳江が言うように それが生まれる意味ならば、どんな 境遇にあろうとも、美しさを求めたい。
ささやかな事に喜び、感謝したい。美しい穏やかな世界を守りたい。
そう 思った。
私に世界の美しさを教えてくれたのは 亡き父だった。 映画やドライブや空を見上げる事などを通じて、教えてくれた…。
母が作る小豆のおはぎは 絶品(笑)私も千太郎のように、母から受け継がなければ!
だいぶ 個人的な想いで観てしまったから 正しい見方でないかもしれない。でも それでいい。
母も とても良かったと喜んでいた。
素敵な樹木希林さんの温かい表情と声は決して忘れない。
追記
タイトルの『あん』が餡でないのは、「あ」から始まり「ん」で終わる五十音に人の一生を擬えて付けられたものだろうか……。
弱者でございます
是枝監督とならんで演出のリアルさが優れている。会話や仕草や表情など「この人たちは自分が映画に出演していることをわかっているのだろうか?」と思えるリアリティ。どうやってカメラを意識させないようにしているのか、わからない。
年譜を見ると、びっくりするほど多作な人だが、作風からして、興行も興行成績もひかえめだと想像する。その作風を、心境の変化か、興行主の意見か、解らないが、この映画から変えた。──と思う。
かわいそうな立場やしいたげられた人でシンパシーを稼ぐ作家とは気づかなかったのだが、この映画や光にはお涙系の演出が目立った。正直なところ、リアルな演出を取ってしまえばセンスのない映画監督だと思う。
オーナーに連れられて、甥っ子がガム噛みながら「どら春」に入ってくる。一目でわかる憎まれ役。観る者の反感を煽りたい意図が見える──というより、いまどき月9にすらこんな直截的描写はない。かなり衝撃を受けた。
店長には、負目と前科があり、母を亡くしている。呑み干したカップ酒に吸い殻、落ち込む度にお酒、短絡の目立つ弱者キャラクターだった。光で同じ永瀬正敏が演じている盲のカメラマンも、しいたげられた/かわいそうな設定で、シンパシーを稼いでいる。
アートハウスの監督と見ていたが、たんに辛気臭いだけなのかもしれない。
話も、餡が変わってすぐ行列できちゃったり、鳥カゴ抱いて家出したり、徳江さんが生前に録音遺していたり、どこまでも作られた話(原作)だと思った。
一杯のかけそばで言うなら「ハンセン病」は「貧乏」のようなもの。いい話というよりうまい話だが、かつての監督作よりもてなしがよく、裾野をひろげたものの、個人的には醒めた。
ぼくたちはなにも知らなすぎる
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