あんのレビュー・感想・評価
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魂が手をつないでいるよう。
千太郎と徳江さんの寄り添い方が絶妙で泣いてしまう。
希林さんも永瀬正敏もとても丁寧に演じているのに
ただただふたりがそこにいるよう。
徳江さんが生き生きと働く姿が愛おしい。
「世間」はいつまでも、そう愚かではないと信じたい。
ラストのぎこちないけれどまっすぐな声が、どこまでも届きますように。
無知はなんて愚かな事
多磨全生園に行く機会があり、国立ハンセン病資料館を見学しました。
そこには国や世間の、病に対する間違った知識や偏見により、罪の無い患者さん達の想像を絶する闘いの歴史が
刻まれていました。
私も、ハンセン病の裁判で国に過失があったと認めたニュースがあり、その時に知ったので私も無知で愚かな人間だった。
このどら焼きを食べたくて仕方ない
樹木希林と永瀬正敏の演技がすごい。。演技を超えてるというか、魂のまま(良心のまま)に演じればこうなるのかなと思った。
浅田美代子はこの役やるのも嫌だったんじゃないのかな?てくらい憎い役だわ!今どきこんな差別だらけの無知な人いるかな…。
「よく分からないけど」と主観で差別を押し付ける。無知、それが差別意識の根源!勉強すればハンセン病は何も恐れることは無いと分かるのに。療養所の近辺ににこんな無知な住人居るのかな。
全生園は看護学生の頃に授業の一環で訪ねたことがある。映画の随所に緑豊かな全生園の風景が散りばめられており懐かしかった。本当に空気の透明な楽園のような所。桜の時期に花見に行きたいな…
最後の「どら焼きいかがですか」は徳江さんに呼びかけていると思う。
人の優しさと怖さを感じる作品
人との出会いが人を変え、救うこともある。
たった1つのことが連鎖して大きなものや流れを作り、人を傷つけてしまう。
差別と区別は違う、区別というのは特別という意味ではなく、違いがあるからこそそれを受容して周りが受け入れていく。
そんな世の中につながればいいなと思った次第です。
圧巻の演技、泣けます
あん 美味しそうなどら焼きでした。
希林さんにしても永瀬さんにしても、迫力ある演技が、観ている人を物語にひきつけます。
孫との共演もよかった。今は天国でこの作品にも出ていた市原悦子さんと甘いもの食べて談笑してるんでしょうね。
こんな甘味処があって、話ができるおばあちゃんがいたら、悩み多き子供世代は、いいオアシスになるんだろうなぁ~
ハンセン病患者の隔離は、本当につらい悲しい話だ。私たちは過ちを繰り返すことなく教訓として、あらゆる差別なくしていかなければいけない、と考えさせられた。
なんでだろう、意味なく、涙が枯れるほど、泣いたんだよ!
いや、いまさら、ハンセン氏病かとは思うのだが。
これはドキュメンタリーなのかな?
なんだろう、ひたむきでも、報われない、それに共感するわけでもない。
いや、映画は良いな、そんな演技を観れたのか?
何故か、良いなと感じたんだよね。
桜を見て、来年の桜を見れないと死んだ知り合いを思いました。
行間の多い映画です、これ、なんですが、自問自答する、そんな映画でした。
何故か、涙が枯れました。
何故か、爽快な気分です。
ありがとうございました😊!
やっと観ました。
もう2年近くになるんですね、樹木希林さんが亡くなってから。市原悦子さんも昨年初めころでしたっけ?!
本当にいい女優さんを失いましたね、日本映画界は。
追悼上映として映画館で再上映された際、不覚にも何か見たい映画と重なって見落としてましたし、できることなら映画館で、と思ってましたがそれが逆に災いしてTV放映もスルーしてしまいやっとVODで観ることができました。
「店長さん、美味しい時は笑うんですよ!」店長とともに涙してしまいました。
徳江さん(樹木希林さん)のセリフ
「私たちはこの世を見るために、聞くために生まれてきた。だとすれば、何かになれなくても、私たちには生きる意味があるのよ」深い言葉です。
ここ最近の自粛警察ではないですが、人間の中に巣食う黒い心、
どら焼き屋の経営者の奥さん(浅田美代子さん)が発する「よく知らないけど、らいらしいわよ」のような何気なく出てくる偏見や差別が今のご時世においてとても胸が痛み考えさせられます。
感動とはまた違った感覚ですが心震えるような素敵な映画でした。
色々と深い想いはありますが、何しろ樹木希林さん、永瀬正敏さんが役柄ではなくそのままのドキュメントのごとく感じてきました。
それくらいお二人の演技が素晴らしいということの証明なんでしょうね。
『日日是好日』でも淡々と進むお話の流れに逆に感銘を受けたこと思い出しました。
なんだかすさんだ心持ちになりがちな今日この頃、多くの方に観てほしいと心から思いました。
ささやかな そして 確かな幸せ
父親を看取り 落ち着いた頃、母と気晴らしに映画を観ようと訪れた映画館で樹木希林さんの追悼ということで「あん」を上映していた。本当は「コーヒーが冷めないうちに」を観ようと思っていたが、母が観たいというので「あん」にした。
樹木希林さんは本当に素晴らしい女優だった。思えば 樹木さんの映画作品を観るのは初めてだった。
彼女が 持て囃される(た)のは当然だと その存在感と繊細な演技力に 唸った。
惜しい。残念。まだまだ、たくさんの作品を見たかった!
樹木希林さん演じる徳江が 愛おしげに小豆に話しかけ 繊細に大切に小豆を「あん」に仕上げていく様が 優しい視線で描かれる。あんの美味しそうな甘い香りがしてきそうだ。
この物語は ハンセン病のために 一般の社会から隔離された場所に住む事を強制され、差別され生きて来て、やっと その政策が間違いと是正されたため、外に出られるようになった徳江が、その日暮らしの惰性で生きていた千太郎の人生に 味や色を与えていく…
私は ハンセン病がどうとか そういう事より 徳江の ささやかな事への喜びの姿を この映画は伝えたかったのではないかと思った。
桜を見て 愛おしげに微笑む。餡の煮える音に耳を傾け 満足げに喜ぶ。若い子と楽しげに話す。
なにより働くことを 楽しむ!
そして 徳江は言う。
「人は この世界(の美しさ)を見る(聴く)ために生まれて来たのよ」
胸が いっぱいになった…!
私は 他人のために何かしたいと思うような立派な人間では無い。せいぜい迷惑掛けないように生きている。だけど…
この世界は美しさに溢れている。だから 出来るだけ見たい!聴きたい!と思って生きて来た。わがままな生き方かもしれない。
でも 徳江のこの言葉で 肯定してもらった気がした。
人は何のために生まれて来るのか?大きな命題だ…。もし、徳江が言うように それが生まれる意味ならば、どんな 境遇にあろうとも、美しさを求めたい。
ささやかな事に喜び、感謝したい。美しい穏やかな世界を守りたい。
そう 思った。
私に世界の美しさを教えてくれたのは 亡き父だった。 映画やドライブや空を見上げる事などを通じて、教えてくれた…。
母が作る小豆のおはぎは 絶品(笑)私も千太郎のように、母から受け継がなければ!
だいぶ 個人的な想いで観てしまったから 正しい見方でないかもしれない。でも それでいい。
母も とても良かったと喜んでいた。
素敵な樹木希林さんの温かい表情と声は決して忘れない。
追記
タイトルの『あん』が餡でないのは、「あ」から始まり「ん」で終わる五十音に人の一生を擬えて付けられたものだろうか……。
弱者でございます
是枝監督とならんで演出のリアルさが優れている。会話や仕草や表情など「この人たちは自分が映画に出演していることをわかっているのだろうか?」と思えるリアリティ。どうやってカメラを意識させないようにしているのか、わからない。
年譜を見ると、びっくりするほど多作な人だが、作風からして、興行も興行成績もひかえめだと想像する。その作風を、心境の変化か、興行主の意見か、解らないが、この映画から変えた。──と思う。
かわいそうな立場やしいたげられた人でシンパシーを稼ぐ作家とは気づかなかったのだが、この映画や光にはお涙系の演出が目立った。正直なところ、リアルな演出を取ってしまえばセンスのない映画監督だと思う。
オーナーに連れられて、甥っ子がガム噛みながら「どら春」に入ってくる。一目でわかる憎まれ役。観る者の反感を煽りたい意図が見える──というより、いまどき月9にすらこんな直截的描写はない。かなり衝撃を受けた。
店長には、負目と前科があり、母を亡くしている。呑み干したカップ酒に吸い殻、落ち込む度にお酒、短絡の目立つ弱者キャラクターだった。光で同じ永瀬正敏が演じている盲のカメラマンも、しいたげられた/かわいそうな設定で、シンパシーを稼いでいる。
アートハウスの監督と見ていたが、たんに辛気臭いだけなのかもしれない。
話も、餡が変わってすぐ行列できちゃったり、鳥カゴ抱いて家出したり、徳江さんが生前に録音遺していたり、どこまでも作られた話(原作)だと思った。
一杯のかけそばで言うなら「ハンセン病」は「貧乏」のようなもの。いい話というよりうまい話だが、かつての監督作よりもてなしがよく、裾野をひろげたものの、個人的には醒めた。
ぼくたちはなにも知らなすぎる
ハンセン病やらい病という言葉がどんどん風化していって、知らない人が増えていっている。どんな病気でいつの話なのか、どんなことがあったのか、やはり知っておく必要があると思う。そしてもっとも知らなければならないのは、ハンセン病を患った方々の人生だ。
いまコロナウイルスで同じように差別の対象とされる人がいるが、その構図はいつの時代も変わらないのか、変えることはできないのか。
なにかを学ぶ必要があると思うが、すこし目先が変わるだけで、人間の深層心理はほんとは変えることはできないのか。そんなことはないと信じたい。
この作品にそのような想いを感じた。
優しく、甘すぎないちょうど良い甘さの映画だった。あんだけに。ハンセ...
優しく、甘すぎないちょうど良い甘さの映画だった。あんだけに。ハンセン病の部分も考えさせられつつ、生きることの大切さを教えられた。樹木希林さんまたもや最高でした。
久しぶりに。
最初から最後まで、目の離せない映画を観ました。
樹木希林さん扮する『徳さん』永瀬正敏さん扮する『店長』。映画だし演技だと分かってはいるけれど、
二人とも、役の人生を生きているかのようでした。
音の一つ一つ、画の一つ一つ、しぐさ、言葉、どこにも無駄なものがありませんでした。
レジェンドの揃い踏み
樹木希林と言えば富士フイルムのCM。
「綺麗な方はより綺麗に、そうでない方はそれなりに」
あの頃から、別に綺麗じゃないけどそれなりに見てしまう女優だった。
「日日是好日」を観てから、あの味のある演技をもっと観たい、というか「久しぶりに会ったおばあちゃんの話をもっと聞きたい」みたいな感覚で、配信サービスのAIに勧められるまま鑑賞。
主演の永瀬正敏にも久しぶりに会って、そういやこの元嫁も含めて今はどうしてるのかとか雑念が湧いたが、それをやはり凌駕していた樹木希林。今回はその役のバックボーンも相まって、彼女の軽さを感じる演技がより重く響く。
ハンセン病って知らない人も増えてる様な。学校の授業で少しやった覚えはあるけど、今でも教えてるのかな。
永瀬と樹木希林の孫が訪れた先に、
まさかの市原悦子。
そしてそのロケ地は東村山。
志村けんの出身地ですね。
郷愁を煽る要素が多すぎて、満足感半端ない。
桜が多く出てくるので、今観るには色んな意味で丁度良いです。
「あん」は中身。中身が大事。
みてくれなんてどうでもいい。
常日頃そう思う、中身の無い自分。
原作と
原作を読んで、ハンセン病資料館に行き、映画を観た。より深く作品世界に入り込むなら、原作をお薦めする。そもそも難しいテーマを扱っている長編小説を2時間の尺で収めるには取捨選択をせざるを得ない。原作では丁寧に描かれている経緯が、映画では所々省かれており、細切れのように場面が飛ぶ印象がある。
それでも映画の素晴らしいのは、それを補って余りある視覚情報である。舞い散る桜吹雪、香り立つようなあんの煮炊きの場面、療養園の風景は強く訴えかけてくる。樹木希林の演技に注目が集まるが、永瀬正敏の演技も素晴らしかった。あまり演技派という印象はないが、主人公の朴訥として、疲れ切り、どこか流れに流されてしまうところを見事に演じていた。個人的にはラストシーンは取ってつけたようで違和感を感じたが。
よい映画の時間だった。
生まれてきた意味。生きている意味。魂の浄化。
心の中に巣くう恐怖。
感染病に対する、手っ取り早い処置・隔離。
特効薬が開発される前まで死病だった結核。
赤痢・コレラ・天然痘…。
身近に感染者が確認されれば、保健所に呼び出され、検査させられ、感染し、他への感染可能性があるとなれば、隔離され、関わる場所が消毒される。
インフルエンザ他でも、出席停止・出勤停止となり、”家”に隔離されて、感染拡大を防ぐ。
感染方法が明確になる前のエイズ・HIV。
そして、今コロナ・ウィルス…。
命を守りたい。死への恐怖が、行動を激化させる。
加えて、ハンセン病は、身体の変化がその恐怖に油を注ぐ。
そんな、種の保存として当たり前の思いと、
人として生きることへの思い、
そしてこれだけ皆がググって情報を得られる時代にも関わらずの無知・偏見
がベースとなって、物語が展開していく。
ある事情から、強制的に生き方を定められてしまった徳江さん。
ある事情から、自分で自分を籠の中に押し込めている千太郎。
ある事情から、”自由”なはずなのに、”自由”になりきれないワカナ。
この3人がより糸のようによりあって、物語が進む。
亡くした自分の子を千太郎に投影する徳江さん。
亡くした母を徳江さんに投影する千太郎。
失くしかけている家族を、徳江さんと仙太郎に見出しているワカナ。
本人たちも自覚していないふんわりとした疑似家族。
人生は悪いこと、思いもよらぬこと、思い通りにならぬことだらけ。
生まれてくる家族も選べないし、罹患する病も選べないし(生活習慣病を除く)、良かれと思ってしたことが仇になることもある。
それでも時折、遭遇する楽しいこと・すてきなこと。
手間暇かけて、面倒な積み重ねの果てに作り出せる美味しい時。
はまってしまった環境の中での、それぞれの思い・ふるまい・日々の生活。
そんな営みを、世間の人はわかってくれなくても、お天道様が、お月様が、木々が、風が、畑からのお客様(農作物)が見ていてくれる。
徳江さんの作るあんのようになれればいいけれど、何にもなれなくっても、そこにいるだけでいい。
映画は、確かにハンセン病患者を扱ったものだけれど、
それよりも、千太郎のいら立ち・号泣とともに、魂が洗われていくような気になってくる。
これだけでも、号泣なのに、
市原悦子さんが出てきただけで、さらに涙が出てきた。
二大女優の競演。
もっと見ていたかった。
合掌。
原作未読。
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