「樹木希林さんをこれからも観たいと思った」あん めいめいさんの映画レビュー(感想・評価)
樹木希林さんをこれからも観たいと思った
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日本の映画らしく、きめ細やかな作品だった。
観ている間、何回もハンセン病について知りたい、調べたいと思った。
それくらい、詳しくは描かれていなかった。
しかし、あーだこーだ、直接的に差別の歴史をこの作品で語るのはナンセンスというか、野暮のような気がした。
徳江さんが、店長より早くに来て働くのを待ち構えていること、丁寧にあんを作る姿、中学生と語らうこと、楽しかったと言うことば。
徳江さんがどれほど筆舌に尽くしがたい生涯を生きてきたか、社会から断絶されてきたかなど感じ取れるかは観る側の感受性の問題と思った。
業務用の餡を使い、仕方なく雇われ店長をしていた千太郎が、おそらくオーナーを振り切って野外で販売するようになったのだろう、最後の声を出して売るシーンで、千太郎の心が自由になり、前向きに生きていくように描かれていて、涙が出た。
おそらく、逃がしたカナリアのように、千太郎は自由になったのだろう。徳江さんが中学生に、つまらないならつまるように行動したら、といったように変化を起こしたのだろう。
手紙のシーンは叫ぶ詩人の会、ドリアン助川らしいなー、と思う表現だった。
作品を見ていて、徳江さんに戦中、戦後をたくましく生きてきた亡き祖母の姿を重ねた。
樹木希林さんしかできない温かい人間性が滲み出た役どころだと思う。
癌を公表されているが、樹木希林さんをこれからももっと観たいと思うから、身体を大切にしつつ、映画にででほしいなあと思った。
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