「今を生きる人々」あん ななみさんの映画レビュー(感想・評価)
今を生きる人々
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千太郎の寡黙な演技と、そこにある情念のような思いが演出で存分に伝わってきました。
徳江さんも小説から飛び出たような、すんなり入る演技はさすが樹木希林さん、圧倒されますね。
ワカナちゃんが語り部の一人を担っていたのも若者向けで好感が持てました。
この映画は今も療養所で生きている人々の温もりを感じます。
筆舌に尽くしがたい差別に苦しみ、今もなお療養所でくらされている方々は多くいると思います。
そんな方の一片の希望であり
差別を目の当たりにして来た世代の方にも深く考えさせられる構図でした。
ひとつ何点をつけてしまうならば
10代20代のハンセン病を知らない若者たちに、もっと大きな強い差別という名の衝撃を与えても良かったのでは。
と感じました。
それがあるからこそ、療養所で暮らす人々の体温が伝わって来るかと思います。
へー、こんなことがあったんだ。差別ってよくないね。
だけでは淋しいな・・・。
と思ってしまいました。
同じ生を持つ人間の、泡立つ血というものが
皆持っている当たり前の事になるように。
それが徳江さんたちの、現代に生きる療養所の方々の切なる思いを感じました。
徳江さん、美しく咲き誇ってください。
千太郎さん、もうひと頑張りですよ。
ワカナちゃん、自由に羽ばたいてください。
ラストで泣かされました。
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