サンドラの週末のレビュー・感想・評価
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切実感。他人事ごととは思えない。
もはや、大女優といっても過言ではないM・コティヤール。一目置くような目線になりがちだが、本編鑑賞中は、サンドラそのもので観ていた。役のなりきり具合は、さすがといっていいのではなかろうか。
しかし、フランスの労働事情は、失業率が日本の倍の10%くらいしか知らないが、本作のようなシチュエーションは、日本では聞いたことがない。
アジアとの競争があるとはいえ、ボーナスが出るということは、それなりに利益は出ている会社なのだろう、普通は、従業員をクビにするのは、最後の手段と思うのだが、ボーナスを出すのとサンドラの復職を従業員の投票で決めるというのが、なんとも不思議な感覚だった。
ほんとは、こんな会社辞めてやるって言いたいのかもしれない、
サンドラのような環境だと再就職は、困難なんだろうか、だとすれば、投票する従業員行脚までして、しがみつくのも仕方ないのか。
あまりにも苛酷な週末ではないのか。
最後、スッキリした表情、セリフではあったが、あくまでも、映画上のストーリーであってほしいものだ。
んー。
『サンドラの週末』鑑賞。M.コティヤールの行動も力無い笑顔も全てが痛々しい。それに引き込まれたのか、最後まで見入ってしまった(この私が寝なかったのは奇跡かも⁈)。世間の厳しさや人々のモラルなど考えてしまう。サッカーコーチしていた同僚が印象的。
確かに予想外のラストだった!
ボーナスか、仲間か。その選択を迫っているのは会社側なのに、それを仲間に直接つきつけ、ボーナスでなく、自分をという、あまりに残酷な話。それに対するそれぞれの職場の労働者の反応が、自分の職場にでもこうだろう。いや、もっとひどいかも、と思わせるほどリアル。
サンドラの心の揺れに、私は結構イライラしてしまつまたんですけど、そこがまたすごいリアル!だって、そうですよね、ボーナスか私か、私をとってって、言えます、自分の職場で!きゃーっ!絶叫もんでしょう。
普通なら立ち去りますよね、黙って。そこを夫と仲間の応援でイヤイヤながら、交渉にいく。そして、あまりにひどい選択だから、職場の同僚が金を選ぶといっても、怒るわけでもない。じゃあ、そんな突きつけやめといた方がみんなにも、自分にも心穏やかだろうっていいたいけど、そこを乗り越えて尋ねて行くってのが、この映画のミソですよね。
これは闘いですよね、過激な。でも、とても静かなんですよね。
まあ、ここにまともな労働組合があれば、こんな選択肢そのものを、ふざけんな、解雇撤回、ボーナスもだせっていって、どっちも勝ち取れるって私は思いますが、そんなもん今の日本にはほとんどどこにもないし、日本なら黙って立ち去るだけなので、こんな映画の発想は絶対にでない。でも、一労働者に病気を理由に解雇なんて、日本でも日常茶飯事起きているような内容ですよね。ここまで鋭角的に押し出されないにしても。
私は見ながら、日本でリメイクして欲しいと思ってしまいました。 サンドラのキャストもこの人にやらせたら面白いかもって思ったりしてみてました。
ラストね。よかったですよ。ネタバレになるから言いませんが、力が静かに湧いてきますよね。後からじわーっときます。
いい映画です!
とっても地味だけど、生きるってそーだな。
地味。とっても地味な映画。
だけどなぜか観れちゃう。
途中でサンドラが、暗い音楽を聴いて笑うところで、あー、今までサンドラ、一度も笑ってなかったんだな、と気づく。
そして、その笑顔に、とっても嬉しくなる。
そのあとまた落ち込むけど。
サンドラの、再生、というか、生き返る、生きる、表情を取り戻す過程を見せてくれる映画。
人って、一人なんですが、いろんな人がいるんですが、いろんな生活があって、いろんな考え方があるんですが、一人でもないんだよね。それに、動けば気づく、こともある。
うーん…
「金か情か」ある種普遍なテーマを淡々と描いている。
大きな見せ場もなく、起伏もなく進むストーリー。
「フランク」や「サンバ」もそうだけど、良くも悪くもフランス映画って感じの映画です。
上映時間が短いから助かってるかな。
コティヤールを観る映画。
体調不良というか、たぶん鬱病で休職していたサンドラは、ようやく復職の目途が立つが、会社が職員へのボーナス支給のために1人解雇しなくてはならず、サンドラを解雇すると通告してくる。
同僚のとりなしで、週明けの月曜日に職員たちによる投票を行い、ボーナスをあきらめてサンドラを再び迎えることに賛成する者が多ければ、そのまま復職できることになる。それを知ったサンドラは週末、同僚たちを説得してまわるが……。
というあらすじ。以前ハリウッドで「ノーマレイ」近くは「エリンブロコビッチ」と反社会のウーマニズムは多々あったが、少なくともヒロインに華を与えるべく脚色された内容だったが、これははっきり言って単純な脚本で話は全く救いがない。
賛否の分れ道だけど、自分は次の様に観て満点である。★アメリカ映画でなくヨーロッパ映画である。★
鬱病の辛さは本人にしか理解できない。「泣いちゃだめ、泣いちゃだめ」と安定剤を服用しながら何度も同じ台詞で同僚を訪問するサンドラ。もう90分殆どがこれのリピート。派手な米脚本にはあり得ないほど単調。ここで観方をマリオン・コティヤールのみ
に定める。オスカー女優は終始スッピンでカメラと戦う。見事だ~。はっきり言ってこの人今迄あまり好きでなかった。大作の群像劇には全く浮いてるし、単発劇でも、ヒステリッキーで私は上手いのよ!が鼻について・・・。
この一見淡泊なサンドラ役で改めて上手いと思った。ベルギーのジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟の味もあるのだろうが、最初と最後の顔が全然違う。カット割りのみで映画自体は語らないがサンドラは鬱に勝ったのだと思う。
最後の道ゆくシーンは格別だった。話ではなくマリオン・コティヤールを観る映画。
映画としての語り口が見えてこない
昨年TVで放映したのをたまたま観て素晴らしかった「少年と自転車」と同じくダルデンヌ兄弟の監督作である。
今作も日常の何気ない事象から普遍的な人間ドラマが紡ぎだされた作品であることを期待して劇場へ。
主演は、今やヨーロッパを代表する女優と言ってもよいマリオン・コティヤール。この人は作品ごとに新たな境地を切り拓いていく。それを同時代で観ることができることがうれしい。いつかきっと、彼女のキャリアの中で映画史に燦然と輝く作品に巡りあえることを願っている。
さて、今回の作品はというと、自分が解雇されるか、全従業員のボーナスがカットされるかという二者択一を、従業員による投票で決めなければならないという話。
主人公サンドラは、なんとか自分の雇用を守るために同僚たちを訪ね、一人ずつ説得して回る。彼女に同情を示す者もいれば、自らの苦しい生活のためにはボーナスが必要だと、サンドラの支援を断る者もいる。そして、彼らの経済状況や家庭状況も様々であり、誰が誰を非難することも出来ない。
サンドラが一人ひとりと話をするときの同僚の対応は、世の中捨てたものではないという思いになれる暖かい励ましや、自らの非力を認める謙虚さがあふれている。
しかし、彼らがひとたび共同体を形成すると、これはもう共同体の大多数を守るほうへ動き出していくのだ。その人間社会の残酷な一面を、サンドラの二日間の奮闘を通して描いている。
これがドキュメンタリーだったらとても面白い題材なのだけど、フィクションとしての映画となると、ひたすらサンドラの顔を追うカメラに退屈してしまう。冒頭あれだけ持ち上げておいてこういうのもなんだが、コティヤールはずっと見つめていたいほどの美形ではないし。もっと映画らしい演出が欲しかった。
この映画の問いかけるもの。
この兄弟監督の映画を観る度に、一番、頭に残ることは、「一体、何を訴えたかったのだろう」ということです。大体の主人公は経済的に恵まれておらず、話の筋は、これでもかと云わんばかりに、次から次へと不幸の荒波が主人公へ襲いかかってきて、最終的には主人公は救いようのない状況へ追い込まれてしまう、というものです。(今回は若干、違いますが・・・)それにしても鬱病を患いながらも安定剤を大量に服用しつつ、票を集め回るマリオン・コティヤ―ルの姿は痛々しい限りです。
この兄弟監督の追い求めるテーマとは一体、何であるのでしょう。まさか、さまざまな不幸を背負った人間をありのままに描くことで、何か文学的な重いテーマを暗示しようとしているのではないのでしょうね。この兄弟監督が敬愛している筈のブレッソンの作品に比べると映画的面白さには欠けますし、ベルイマンの作品に比べると奥行きに大きく欠けます。表面的な風景を淡々と綴ることに終始し、結果として、なんだか、嘘くさい映画になっているのです。深みのある映画を作ろうとはしたものの、悉く、失敗しているように思えてならないのです。
カンヌ国際映画祭でパルム・ドールをニ回、受賞とのことですが、どう考えても過大評価のような気がします。
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