「散った若侍たちと不発の映画」合葬 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
散った若侍たちと不発の映画
江戸の風俗研究家でもある漫画家・杉浦日向子の作品の映画化。
同作者の『百日紅 Miss HOKUSAI』は原恵一監督でアニメ映画化され、あちらは非常に良かったのだが…、
徳川慶喜の身辺警護や江戸の治安維持を任とする武士組織・彰義隊。大政奉還後、存在理由を失い、時代に取り残された若侍たち…。
先日見た某邦画アクションのアルファベットの架空の部隊と違って、こちらは実在の組織。
話的にも良さそうなのに、残念なくらい面白くない。
何なんだろう、全然話が見えてこない。
メリハリに欠け、引き込むような要素や展開も無く、ただ淡々と、一体何を描きたいの?
全体的に映画というよりちょっと質のいいTV時代劇という感じ。
故に登場人物の心情や言動に全く共感出来ず。せっかく柳楽優弥、瀬戸康史、岡山天音、門脇麦、オダギリジョーらいい役者を揃えていながら…。
良さそうとは言え、題材的にも取っ付き難かったのもあったかもしれない。
興味ある人や分かる人には分かる。
でも、それを“魅せる”のは作り手側の手腕。
活かせる事が出来なかった。
タイトルの意味は、複数の人を一つの棺に葬る事を言うらしい。
上野戦争で散った彼らに通じる。
でも個人的には、不発に散った本作そのものに思えた。合葬。
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