「20世紀初頭から始まるパプーシャたちの終わりのない旅が、微細な光の陰と輝きの風景として記録されている。」パプーシャの黒い瞳 kthykさんの映画レビュー(感想・評価)
20世紀初頭から始まるパプーシャたちの終わりのない旅が、微細な光の陰と輝きの風景として記録されている。
馬車を連ね、花吹雪の森や雪が舞う街を遍歴し生活するジプシー。彼らにとって言葉を文字にすることは、悲しみを記憶し、禍を招くことでありタブーであった。しかし、パプーシャは文字に惹かれ、匿った青年に惹かれ、四季折々の世界と仲間たちの喜びと悲しみを小さな紙切れに書き残して行く。20世紀初頭から始まるパプーシャたちの終わりのない旅が、微細な光の陰と輝きの風景として記録されている。哀愁深い音楽を合わせ、シンプルなモノクロ映像をきめ細かに描いていくこの映画は、60年間に渡るポーランド・ジプシーの叙事詩と言えよう。
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