「狂人走不狂人走」日本のいちばん長い日 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
狂人走不狂人走
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映画「日本のいちばん長い日」(原田眞人監督)から。
原作の書籍を先に読んで、驚くほどメモしていたからか、
それとも「映画の予告」を何度も何度も観たからか、
まさか本編を観ていなかったとは・・・自分でも可笑しかった。
さて、いろいろな角度からメモしたが、やはり気になったのは、
阿南陸相の部屋に、さりげなく飾ってあった掛軸。
「狂人走不狂人走」
「狂人が走り出すと、そうでもない人間も走り出す、という意味です」
と、作品の中でも、わざわざ説明している。
鑑賞後ネットで調べると「江戸時代の僧、清巌宗渭の言葉」らしい。
・ひとりの狂人が走ると、普通の人も走り始める。
・ひとりの狂人の情熱と行動で世界が動かされてゆく。
そんな説明を見つけて、なるほどなぁ・・と思った。
今回は、松坂桃李さん演じる「畑中健二」という若い将校が、
この「狂人」として、存在感を示している。
「第二次世界大戦」そのものが、ヒットラーを含めた数人で始まる。
それを考えると、この掛軸の持つ意味こそ、監督が伝えたかったこと、と
私は理解した。
書籍「日本のいちばん長い日(決定版)」
(半藤一利著・文春文庫刊・371頁)の読後メモには、残っていないから、
たぶん、監督独自の視点なのであろう。
昭和天皇や阿南陸相にスポットに当たりがちだが、この日の主役は、
軍事クーデターを起こそうとした「狂人」、若い陸軍将校たちだ。
これが成功していたら、今の日本はどうなっていたのか・・
そんなことを考えながら「狂人走不狂人走」の言葉を眺めたら、
言葉は悪いが「彼らの情熱と行動」を羨ましくも感じてしまった。
これもまた「226事件」と同じく「吉田松陰」の影響か。
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