「歴史の一部分を切り取ったかのような作品」日本のいちばん長い日 harukitaさんの映画レビュー(感想・評価)
歴史の一部分を切り取ったかのような作品
今年は終戦70周年、安保法制と戦争に関する話題や番組を見る機会が増えた。
戦争体験者が年々減っていく中で、私たちはそれをどのように子孫に伝えていけば良いものか?
そもそも私自身がどこまで深く(正しく)考えられているものか?
ただ闇雲に戦争反対を唱えているだけかも知れない。
戦争に反対はしても、始まってしまった戦争を止める自信は無い。
本作は戦争を止めるために費やした数ヶ月間の物語だ。
それまでは“一億玉砕”を謳いイケイケの強気で押していたものが、急に終戦と云われても、青年将校たちの闘志が冷めないのも仕方がないのかもしれない。最後の一兵卒まで戦うように教育されてきて、もしその立場なら暴走する人が出て来るのもあるだろう。
それは走り出した列車の先頭が急に止まるようなものだ。そんなことをすれば後続車両が暴走する。特に二、三列目の勢いが激しいだろう。それに振られて後続も脱線していく。
本作が描いている「宮城事件」のことである。
やはり皆、戦争の被害者と言える。
本作はもしかしたら人物描写はデフォルメされているかも知れないと感じはするが、史実を基にした興味深い作品だと思う。
特に戦争は一度始めたら止めることは容易ではない。それがよく分かる。
然るべき人が止めてくれないことには止まらないし、止まるまでにも被害が出てしまうのだ。
だからその前に戦争にならないようにしたい。
この歴史から学ばなければいけない。
2015年、新年のご感想で天皇陛下はこのように言われている。
(間違っていたらご免なさい)
「本年は終戦70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています。」
とても重要な方の重要な言葉だと、私は思います。
始めないこと。
勿論これが大切ですが、始まったことを終わらせること。
それは始めることよりも難しいのだ。
ということ本作を観て学びました。