「21グラムの魂が見つからない……。」屍者の帝国 mifaさんの映画レビュー(感想・評価)
21グラムの魂が見つからない……。
原作小説を読んでから、と思っていたのですが、どうしても円城塔氏の文章は合わない……。なので、「カラマーゾフ登場手前」まで読んだ状態で鑑賞。結果、混乱しまくりでした。カラマーゾフ本人との遭遇までは熱中していたし、屍者達のおぞましさ、それを利用する恐ろしさが十二分に伝わっていた。
しかし、あのエンディングはいくら何でも有り得ない。スタッフロール後のアレが余計に混乱を招いている。原作がどういう結末に至るのかを知らないものの、しかし彼の登場は無い、というのは分かっています。それ故、あまりに説明がなさすぎる。
これまで、非常に難解だと言われてきた作品には、きちんとヒントや鍵が存在していました。だからこそ、「分かりそうで分からない、でももう少しで理解できそう」という思考する喜びがそこにありました。
こちらはただただ展開の連続であり、そこに潜むはずの手がかりが不明瞭で、後半は「なんか知らんがどんどん話が進んでいく」状態でした。
二時間程度に話をまとめるのはとてつもなく難しいものです。フライデーに関するオリジナル設定は、個人的にアリだと思っています。しかし後半部分の急展開っぷりは賞賛しかねる。自分には、人間と屍者との間で彷徨う、「失われた21グラムの魂」の在り処は見出せなかった。
ただ、これで終わりじゃない。ハーモニー、そしていつやるかは分からんが虐殺器官もあります。個人的には、予告見た感じハーモニーに一番期待しているので、それらを見終え、Blu-rayを買い、もう一度見直した時、「あ、やっぱ面白いわ」と思える日が来る、とそう信じています。
難点はあったものの、それでもやはり、製作者の皆様に伝えたい言葉が沢山ある。やっぱり、あの一言を製作者の方に送りたい。