「切り札、何にも持ってなかった」WILD CARD ワイルドカード 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
切り札、何にも持ってなかった
役柄も設定もストーリーもこれぞ!というくらい。
さぞかしTHEステイサム映画を楽しめると思っていたら…。
元兵士で現用心棒。ステイサムの十八番!
ラスベガスでそんな仕事をしているニックに、暴行を受けた元恋人が復讐をして欲しいと依頼してくる。
渋々引き受け、復讐相手をあっさり制裁を与えるが…。
本作、評価が分かれてるのは、ステイサムがもっとバリバリにアクションするのかと思ったら、そうでもない。アクション・シーンは少ない。
それでも、アクションはさすがのキレの良さ。
本作はどちらかと言うと、アクションやサスペンス含みの、渋いクライム・ハードボイルド・ドラマ。それはそれで面白味はある。
ステイサムも漢気溢れる役柄ではなく、アルコールに溺れ、ギャンブルに溺れ…。珍しくツキに恵まれ、ギャンブルで大金を手にするも、そこで辞めておけばいいのに…。
ここでの暮らしも今の自分にもヘドが出る。
大金を元手にこの街を出て、再スタートを…。
なかなか夢が遠い、ある漢の哀愁。
中盤くらいまでは良かった。ラストが…。
ボコボコにした元恋人の復讐相手のバックにはラスベガスの大物ギャングが。
ステイサムが一人で、巨悪組織と戦う!…ア、アレ!?
その大物ギャングに呼ばれ、ニックと復讐相手双方から話を聞くが、ニックと大物ギャングは馴染み。ニックの話は筋が通り、信憑性がある。嘘を付いた復讐相手は咎められる。
復讐相手から命を狙われるも、これを返り討ち。
少なからずラスベガスの裏社会を面倒にしたので、もうここでは生きていけない。
手ぶらで逃げようとした時、とある縁で知り合った青年から友情の印として多額の報酬を貰い、遂に街を出る…。
ここで終わり。もう一幕くらいあるのかと思ったら…。
思わず、「えっ? これで終わり!?」と呟いてしまった。
ブラックジャックに例えるなら、いい切り札を持っていると見せ掛けて、実は何にも持っていなかった。
ステイサム兄貴、何か切り札が見たかったよ。