劇場公開日 2016年1月29日

「可もなく不可もなくの出来」尾崎支配人が泣いた夜 DOCUMENTARY of HKT48 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 可もなく不可もなくの出来

2025年7月25日
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鑑賞方法:DVD/BD

単純

カワイイ

グループのリーダーである指原莉乃が監督だが、彼女はもともとモーニング娘のファンだったこともあって、どちらかというとファン向けのアイドル映画としてオーソドックスな作り。何らかの形でメンバー全員が登場しているのが特徴で、それだけに広く浅い出来で映画的深みはない。指原自身が担当するナレーションがオーディオ・コメンタリーに近く、箸休めシーンでバラエティ的な演出を挟み込むなど、本業のドキュメンタリー監督ではないこともあって、果たしてドキュメンタリーと言っていいのかやや疑問な部分もあるが、映画自体はそれなりにまあまあ面白く仕上がってはいた。

NMB48の映画とほぼ同じ時期に観た(いずれも地元には来なかったのでレンタルDVD視聴)が、両作の共通点の1つは中心テーマがメンバー間の人気格差だということ。グループの中心となり全国区の人気となるメンバーに対して、加入後数年を経ても下積みにとどまる者もいる。それでも踏みとどまる者、別の道へ進む者など様々なメンバーの姿が描かれているが、NMB48の映画では「1つの闘いが終わっても、また新たな闘いが続いていく」というような締め方になっているのが印象的だったのに対して、HKT48の映画ではある種のハッピーエンドに終わらせ、暗くなりすぎないように注意している。

もう1つの共通点は、それまでのAKBグループドキュメンタリーでは取り上げられていなかった「ファン」の姿が描かれていること。考えてみればファンというのは不思議な存在で、応援しているものがどうなろうと別に実質的には損も得もないはずなんだが、それでも応援せずにはいられない。誰だって何かのファンなわけで、映画で描かれているアイドルファンの姿は実はスポーツファンなどと何も変わらない。映画ファンとしての我が身を振り返ってみても、なかなか考えさせられるところがありました。

バラージ