千年の一滴 だし しょうゆのレビュー・感想・評価
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出汁は、作るとはいいません。引くといいます。
映画「千年の一滴 だし しょうゆ」(柴田昌平監督)から。
素敵なナレーションに包まれて、気持ちよかったから、
久しぶりに、映画館の真っ暗の中で、メモを取った。(汗)
多くの中から、私が選んだのは「出汁」という言葉の使い方。
会話として「今回の出汁は、何から作った?」とは言わないが、私は
「今回の料理の出汁は、なにから取った?、鰹?昆布?椎茸?」と使う。
しかし、本来「出汁を引く」という言葉の使い方をするようだ。
この「出汁を引く」という言葉に、この作品のエキスが詰まっていた。
出汁は、和食の魅力・素材の旨味を存分に引き出す役割だから「引く」、
さらに「引き出す」だけでなく「引き立てる」役もあるので、
「引く」を使うのかもしれないな、と嬉しくなった。
和食の料理人も、それを支える「醤油・酒・みりん」などの職人も、
さらには出汁の素材である、鰹や昆布、椎茸を手間隙かけて作る人たちも、
とても謙虚であり、「俺が・・私が・・」と自分たちをアピールしない、
そんな人柄が、この作品の隅々にまでまで浸透していた気がする。
和食が、ユネスコ無形文化遺産に登録された時に耳にした
「外国はシェフやお店の名前が有名になるが、日本は料理名なんです」と
いう話が、なぜか私の頭の中に甦った。
映画のエンドロールと言えば、監督の名前が最後に浮かび上がってきて、
しばらく表示されてから消える・・となるが、今回は監督が意識したのか、
さらっと、名前が表示されて、監督だから・・という特別扱いがなかった。
これもまた「出汁と同様、私は引き出し役、引き立て役ですから」と
口にしそうな、柴田監督の粋な計らいなのかな?
日本のうまみ。
2013年OAのNHKスペシャルに、新たなパートを加えて再構成した
日仏合作ドキュメンタリー。日本人が観ても、とても勉強になる。
近年欧米では和食ブームが盛んだそうで、そういえば先日からまた
深夜アニメで英国人記者が和食(B級グルメに至るまで)を紹介して
いる番組があって、なかなか面白い。美味しいのは大前提、それが
世に出るまでの工程が複雑で神秘的でまた職人の持つ熟練技が凄い。
主婦なら納得。なぜあんなに「こんぶ」の値が高いのか^^;
あれほどの工程を経て一つ一つが丹念に作られていることを知れば、
致し方ない。本当に凄いんだから。私はこんぶ臭さえ知らなかった。
第2部しょうゆにおけるカビの存在。「アスペルギルス・オリゼ」という
そのカビがまさに「枯れ木に花を咲かせましょう」と繁殖する美しさ。
すごいな和食。先人の知恵。受け継がれる技。大切に育てた一滴を、
豊かな味わいの宝庫を守っていかなければ、と心から正される感じ。
若干NHKらしさ(独特の臭み)を感じながらも、和食がユネスコの
無形文化遺産に登録された現在、改めて真髄を観られたことに感謝。
(職人さんが声高にアピールしないのも和食のうまみの一つだもんね)
椎茸は日本人が作ったものだとこの映画監督の話を聞いてびっくり。日本...
椎茸は日本人が作ったものだとこの映画監督の話を聞いてびっくり。日本独自の素晴らしい知恵に感謝!昆布漁師の家で育った母さんにも観てもらいたい作品でした。
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