「全員で見落とさない。」みんなの学校 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
全員で見落とさない。
私が観たのも名画座だったが全国で上映会が続いているらしい。
思うにこの作品を(前にも他作品で書いたけど)、道徳の時間に
子供達に見せたらどうだ、と思う。映画好きや親が料金を払い
観るのも結構だが、小学校に通う子供達がこういう学校をどう
思うか、自分も通いたいと思うか、貴方の両親なら何というか
ちょっと聞いてみたい。問題のある子も特別支援が必要な子も
同じクラスで皆一緒の時間を過ごす。問題を起こして学校から
逃げようとする子を宥める子供も、手を貸す子供も、この学校
のコンセプトである校長先生の理念に従い、全員で即行動する。
さらに保護者や近隣住民も揃って学校に協力する。つまり地域
全員で子供達を見守っているのだ。そしてそれは反抗や暴力を
繰り返す子供に対しても平等である。皆が通える学校でなければ
公立学校の意味がないと校長先生は繰り返す。まったくその通り。
当たり前のことなのに目から鱗なのは、今の学校が、あまりにも
その教育理念からかけ離れてしまっているからだという気がした。
大空小学校に転入してくる子供達は、他校で上手くいかないとか
受け入れてもらえなかった、という子が多いようだが、それって
緊急搬送される患者をたらい回しにする救急病院のようなものだ。
面倒なのを受け入れてもし何かあったら訴えられちゃうから。と
いう姿勢が効率よく運営するための最重要課題のように聞こえる。
他校から転入してきたのは生徒ばかりでなく教師も同じで、最初
ビックリしている様子や徐々に慣れていく姿が子供たちと重なる。
みんなで学校をよりよいものにしよう。というスタイルが、時に
笑いを誘い、感動を呼び、苦悩を招き、失敗を繰り返し、何度も
何度も考えて考えて、子供たちも一つの答えを出す。その過程は
校長先生を初め校内を伝達する形で繋がって誰一人見落とさない。
これらを可能にする先生方の大変さがイヤというほど味わえるが、
どの先生も前向きで常に子供達を意識している姿が印象的だった。
(これなら不登校もゼロになるのが分かる。大人も学べる学校だな)