「ふんわりふわふわ、添い寝屋的映画」白河夜船 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
ふんわりふわふわ、添い寝屋的映画
ちょっと苦手系と分かってはいたものの、やはり何を言いたい映画なのか、私レベルの頭ではもう一つよく分からない部類の作品でしたね。
本業が写真家な監督さんだけに、映像の見せ方に関してはさすがだなと思わされた部分もあったりして、何だかんだで引き込まれてはしまいましたけど、ふんわりふわふわ、まるで詩の世界の中にいるようで、いまいち掴みどころがない映画だった気がしました。
原作ファンには、原作読んで世界観をしっかり掴んでから見てくださいと叱られそうですが。
まあとりあえず、私は井浦新、安藤サクラ、谷村美月と言った主要キャストに惹かれて見たので、そこに関してはそれぞれが持ち味を存分に出していた印象で、一定の満足感は得られたかなと。
特に井浦新は個人的には不倫をしても何故かあまり不快感を感じないようなイメージもあったので、まさに嵌り役!
そんないい人臭が、本当にズルイ。
勿論、植物状態な妻がいると言う岩永の状況は、物凄く同情に値しますけど、寺子をまるで自分を癒す道具にしているのは、何だかねぇ・・・。
でも、井浦新の雰囲気が絶妙すぎて、不快感までは感じさせないのがホント上手いんだなぁ。
そんな岩永と全て分かった上で関係を続ける寺子の深い闇を表現した安藤サクラも、また素晴らしかったです。
半分寝ているような状態なので、何を喋っているのかよく分からない部分もありましたけど、眠りが深すぎてまるで半死状態になっているのが見る者にも伝わってくる絶妙な演技は、とても印象深かったです。
これはある種の現実逃避的な睡眠なんでしょうかね?
そして夢か現実か分からなくなる的な。
と言うかこの映画、もしかして全部夢なのか?
寺子がこんな状態になるきっかけでもあった親友しおりの自殺、彼女の添い寝屋と言う職業もまた何とも特殊でしたが、そんなしおりにずっと添い寝されているような作品でもあったように感じられましたね。
岩永の妻も植物状態で寝たままだし、皆寝ることに関連しているのが、何だかややこしい。
しかしいろいろと意味ありげな雰囲気は醸し出すも、ラストもそうですが私には明確にはよく分からなかったりで、結局雰囲気だけ楽しめたって感じの映画でしたかね。
逆にいろいろと自分で解釈しながら映画を見たい人にはオススメかも。