劇場公開日 2015年6月27日

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「2本のワインと孤独な女・・・そのふたつで《人生の岐路に立つ男》」オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 2本のワインと孤独な女・・・そのふたつで《人生の岐路に立つ男》

2025年9月2日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

なんともほろ苦い映画でした。
男(アイヴァン=トム・ハーディ)は、家に帰る途中で運転中だった。
明日には国家的プロジェクトの大事な仕事を控えていた。
家では息子たちと妻とでご贔屓チームのサッカーの試合をテレビ観戦
して、ピールとソーセージで大盛り上がりする予定だった。
《一本の電話》
それは早産でアイヴァンの子供が産まれそうだ・・・と告げる
一夜限りの過ちの相手・ベッサンからの電話だった。

ベッサンはアイヴァンが7ヶ月前に3ヶ月間出張したロンドンの仕事の
秘書をしてくれた女性だった。
打ち上げの日に2人は2本のワインを開けて、43歳の美しくもなく孤独な
ベッサンと成り行きで一夜を共にしたのだ。
そして突然の早産の知らせ。
男は瞬時に決断をした。
★帰宅から行き先を変更したこと。
★女の出産に立ち会うためにロンドンの病院に向かうこと。

しなければならないこと。
①仕事の手配・・・彼は翌朝、ヨーロッパ各地から集まる
……………………………226台のコンクリート・ミキサーを待ちセメントを
土台に流し込む工程を成功させる1000万ドルの仕事の責任者なのだ。

この映画の面白い趣向は、男の車の中の【電話での様々な人との会話】で
全てが進むこと。
②次に大事なことは、妻のカトリーヌに、一夜限りの愛のないセックスで、
男の子供が産まれてくることを告白すること。
★男は妻がそれを許すと高を括っていた。
しかし妻の動揺は想像を大きく超えて、
★★二度と帰ってこないで。別れます、子供には会わすけれど。
と言う返答で、
息子のエディは母親の異変を感じつつも、サッカーチームの
弱小ディへンダーの入れた2点のゴールに舞い上がっている。
そして仕事。
大事なプロジェクトに立ち会わないと知った会社の上司により、
♠︎解雇を通告されてしまう。
♠︎一晩にして、男は仕事と家庭(妻と息子たち)を失ってしまうのだ。
車の後部座席には、子供の頃、男を捨てて逃げた父親の亡霊が現れる。
“俺はアンタにはならない、絶対に“
そう言って男は過ちの責任を取るために女の病院へ向かうのだ。

ベッサンの声を演じたのは名女優・オリヴィア・コールマン。
容貌がパッとしない中年の女。43歳は出産ギリギリの年齢。
(なんとも似合いすぎて怖いくらい)
女にとっては子供は願ってもないプレゼントだろう。
産まれた子供は、男にとっては、
一夜の愛の無いセックス、
一夜の過ちの結果の子供・・・
そう言われるとしたら子供も不憫だ。
そして女は懇願する、
“せめて一度だけでも、愛してる“と言って!!“と、
なんとも切ない映画でした。
監督・脚本はスティーヴン・サイト。
名脚本家で、好きな映画、心に残る脚本が多い。
「完全なるチェックメイト」「マリアンヌ」
「蜘蛛の巣を払う女」「堕天使のパスポート」などがある。

琥珀糖
えふいーねこさんのコメント
2025年10月15日

コメント失礼いたします(あちこち頻繁にすみません、笑)
劇場公開時に観ていたのですが、オリヴィア・コールマンが声で出演していたとは全く知らず、「エエエ!?」と声が出てしまいました(^_^)ドラマシリーズ「ブロードチャーチ」と「ナイトマネジャー」(←妊娠中の出演!)で名前覚えましたがすごいアクターですよね。大好きです。

えふいーねこ
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