アリスのままでのレビュー・感想・評価
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The art of losing
知識を語彙を駆使して伝える大学教授、それも言語学の権威である主人公が言葉を失っていく
たくさん喋ってきた人は、認知症になっても喋りたいであろう、それを次女が寄り添う
演劇に没頭しその日暮らしの次女は、主人公の認知症が進む前に言い合いになった時に、「私は今幸せ」と言う
主人公は、娘の将来を案じていたが、自分が今を生きることになる
こころに残る台詞
自分のことを語る演説が全てこころに残る
Please do not think that I am suffering. I am not suffering. I am struggling. Struggling to be a part of things. Stay connected to who I once was. So living in the moment I tell myself. It's really all I can do. Live in the moment. And not beat myself up too much. And not beat myself up too much for mastering "the art of losing"
次女が最後のシーンで読む詩は後で読み返すとこころに残る
Nothing’s lost forever. In this world, there’s a kind of painful progress. Longing for what we’ve left behind, and dreaming ahead. At least I think that’s so.
最後に残ったものに救われる
よかった
若年性アルツハイマーはつらい。僕も記憶が相当怪しいので、不安になる。あんなにジョギングをしていても病気になってしまうとは、何をしたらいいのか分からない。祖母が認知症でさっぱり意思の疎通ができなくなっていたけど、100歳だったので体が動かず徘徊もなかったのだけど、50代は気の毒だ。
50で子どもがみんな成人している人生はすごい立派だ。
人間の、変わることのない美しき根幹
コロンビア大学で教鞭をとる、知的で聡明な言語学者「アリス・50歳」が、遺伝性の若年性アルツハイマーと診断され、その病をどのように受け入れ、これからをどのように生きていくのかを、ジュリアン・ムーアが熱演する。
アリスが遺伝性の若年性アルツハイマーを発症したことで、
アリスの家族の関係性も変化を見せていく。
医師の夫・優秀な長男・結婚し幸せな夫婦生活を送る妊活中の長女アン・唯一安定の道を行かず、プロ演者を目指し劇団に所属している次女のリディアの面々である。
この作品にまず賛辞を述べたい部分は、俳優陣の演技力の高さだ。
ハリウッド映画ならではの無駄に派手なカメラワーク・驚くような音響効果は、ほぼ使われていないにもかかわらず、各役柄の心情がバランスよく、そして強く観る側に伝わってくる。
それは同時に、観る側の人生の置かれた環境によって、誰かの役柄に感情移入をしやすいということでもある。
これは、作品を観る者に問いたい現代の問題を、わかりやすく表面化してしまわずに、しかしはっきりといくつもの問題を伝えることに成功した稀有な例だと思う。
・認知機能の衰えは、本人は怖く、周りは哀しみを感じるが、生産性のない人間だからと自身の命を淘汰していいのか
・老いの無い、人生などあるのか
・人間は、いつを生きるべきなのか 過去?未来?今?
・人間の尊厳とは、いったい何なのか
・幸福とは、心の豊かさとは何なのか
・知性を失くしたら人間ではなくなるのか
・人間が人間である為に、必要なものは何か
すべての答えが、ラストシーンに詰め込まれていた。
リディアがアリスに戯曲を朗読し、
まるで子どもに聞くようにアリスに訊ねる。
「これは何のお話だった?」と。
アリスにはもはや、なかなか出てこない言葉を、
懸命にひねり出しリディアに返したその言葉の内容こそが
人間に唯一必要なものだと思う。
そして、言語学者であったアリスは、
身につけた知識である言語を失ってはいくが、
培ってきた家族の絆は失わずにいた。
人はやたらと幸せになりたがる。
しかし幸せとはいったいどのような定義で
決められるものなのだろう。
幸せとは、どんな定義にも当てはまらない。
そしてきっと、不滅のもの。
アリスがリディアの質問にようやっと答えたとき、
そしてリディアが「そうね」とアリスに言ったとき、
二人の間には親も子もなく、人と人だった。
それは限りなく美しい関係性にみえた。
そして、まるで夜空のように、
目を閉じても何かの模様が見えるように、
真っ暗闇は此の世には存在しない。
どんなときにも、見えるか見えないかくらいの
一寸の希望の光に私たちは照らされている。
重い、辛い、でも
家族のありがたみ、あたたかさというのはこういう悲しい辛い状況になった時にこそくっきりと表れてくる。
若年性アルツハイマーになり、日に日に老いていく母親を見守ることになったのは、意外にも一番疎遠に見えたリディア。彼女が最後のシーンで母親に読む話。それを聞いて母親が口にした言葉は、「愛」。
なんてシンプルなんだろう?
言語に携わり、普通の人間よりもたくさん言葉について知識があった母親が、その長年培ってきた知識も言葉もあっという間に失いそれでも、その「感情」は無くしてはいなかった。
喧嘩もすれ違いもあったけど、それでも、底の底ではつながっている。
何もかもを失おうとしていたアリスが最終的にたどり着いた所。
それは悲劇では、ないような気がする。
何度もウルウルしてしまう
私も忘れる天才だけど忘れられないこともたくさんある。
なくすことは素晴らしい才能だと気づく一方で
失う記憶を選べないのは本当に悲しい。
でもね、病気で有ろうと無かろうと私たちは毎日闘って生きている。
悔しい、苦しむのではなく闘おう、それを教えてくれた映画です。
感動したシーンといえば、やはりスピーチの部分。
アルツハイマーを受け入れて戦い始めた頃のアリスのスピーチ。
備忘録として…
私はアルツハイマーです。
なくす技を日々習得しています。
方向感覚、物、記憶をなくしています。
私の人生は記憶に満ちています。
記憶は私の最も宝
夫と出会った日、自分で書いた教科書を手にした日
子供が産まれ友人ができ世界を旅した。
人生で蓄えた、努力して得た全てが剥ぎ取られていく。
想像通り、ご存知の通り地獄です。
私はまだ生きています。
心から愛する人がいてやってみたいことがある。
物を忘れてしまう自分に腹がたつけれど
喜びと幸福に満ちた瞬間が今もあるのです。
私は苦しんでいるのではない、闘っているのです。
かつての自分であろうと、世界の一部であろうと、もがいている。
だから瞬間を生きています。
瞬間を生きること、それが私のできるすべて。
なくす技が上達しても、自分を責めないで。
つきささる
悲しい。
アリスが自殺の段取りの動画を何度も見返して、それでも結局できなくて、最終的には自分がなにをしようとしているのかもわからなくなるシーンは本当に泣きそうになった。
しかも家族性アルツハイマーで遺伝するから、家族それぞれの思いを想像すると、とても辛い。
家族の愛の物語といいつつも、それぞれ娘や息子や夫がアリスとある程度の距離をとっていて、非常にリアリティがある。
つきささった。
涙が止まらない
この映画の主人公、アリスは若年性アルツハイマーという珍しい病気だということが発覚してしまいます。
もし、家族も職業も最高のものを持っていて、普通の日々を過ごしていたのに、「ある日突然あなたは若年性アルツハイマーです」と診断されたら。今まで積み重ねてきた大切な記憶が何年か後には全て消えて、なくなってしまう。そうなってしまったら、あなたはどうしますか。私は、私が私であるうちに。大切な記憶があるうちに死にたい。そう思います。
主人公アリスは、だんだんと大切な記憶が消えて無くなっていき、方向、単語、日常生活といったような、私たちが普通に行っていることが一人でできなくなってしまいます。
アリスは次々と消えてしまう記憶。すなわち弱っていく記憶力を「なくす技」という言葉を使ってスピーチしています。「どんなになくす技が上達しても、今日スピーチしたことを忘れたくない。」その言葉が胸に突き刺さりました。その後アリスは徐々に言葉を忘れてしまい、最後には抜け殻のようになってしまいます。自殺したくてもできない。誰かに自分の思っていることを伝えることもできない。いままで積み重ねてきた大切な記憶もない。こんなに悲しいことはありません。
若年性アルツハイマーとは本当に恐ろしい病気です。その人のいままで、そしてこれからの人生を全て一瞬のうちに失ってしまう。周りも辛いと思いますが、一番辛いのは自分自身です。アリスは、自分の中の記憶が消えていくのがわかる。と言っていました。どんなに忘れたくない大切な記憶も全て消えていく。怖いです。記憶がどれだけ大切なものなのか。
アリスのスピーチは本当に感動しました。スピーチから後半はアリスの記憶が無くなっていくのを前半より感じることができます。アリスのスピーチは、世界中の人々に聞いてもらいたいです。
長々と書いてしまいましたが、こんな言葉では表せないものが心に響いてくる映画でした。
私のおばあちゃんは、アルツハイマーです。
アルツハイマーを軽く見ていた自分が最低に思います。そんな、おばあちゃんと離れて暮らすお母さんは、実家に帰ると笑顔でおばあちゃんの介護をしています。実の娘のこともわからないであろうおばあちゃんに笑顔で介護しているんです。泣いているところを見たことはありません。本当思いっきり泣きたいと思うんです。
なので、より「still alice」という映画に感情移入してしまいました。
何度も言いますが、どんなに忘れなくない大切な記憶を一瞬で奪うアルツハイマーという病気について、本当に考えさせられる映画でした。
I'm not suffering, I'm struggling アルツハイマーのリアルを描いた秀作
struggle-もがく、あがく、努力する
字幕では「私は苦しんでいるんじゃない。戦っているんです。」という風に訳されていましたが、単純に戦うというより、もっともがきながら戦っているという感じです。
個人的な話になりますが、私の父は認知症です。父は同じ事を間をおかずに何度も聞く、知っていたはずの所でも迷子になる等映画の中のアリスと同じ行動をします。そういった意味ではこの映画は「アルツハイマーあるある」でした。映画の中でのアリスの行動は本当にアルツハイマーの方が取る行動です。身近にそんな人がいない方はビックリされるシーンかもしれないですが、本当にそんな行動を取るのです。正直「なんでそんな行動するの?」っと思ってしまいます。でも、それがリアルなんです。
わかってあげたい、でもわからない。理解できない。わからないんです。こちらも所詮人間ですし腹立たしい事もしばしばありますし、精神的にとても疲れます。本人の良かった時を知っているだけなおさら・・・夫を演じるアレック・ボールドウィンが仕事に逃げていますが、逃げたくなる気持ちはとても良くわかります。誰しも仕事あるんですし、四六時中面倒見てるわけにもいかないですし、相手しててもわけわかんない事話ますし、逃げたくなりますよ、そりゃ。最後に自分の夢を半ば諦めて面倒を見ると決めたクリステン・スチュワート演じる次女は立派な決断です。
アリスがビデオに残しておいた悪化した時の対処法。アレをやられると家族としては間違いなくトラウマになるでしょう。ありえないとは思いますが、もし自分の父があんな事やったらと思うといたたまれないです。ただ、その反面どこか助かるのも現実です。
・・・と自分の置かれている状況と相まって、とても他人事とは思えず涙なしには観る事ができませんでした。
ジュリアン・ムーアの演技はアカデミー賞納得です。自分に向けてのビデオレターを見るシーン、良かった頃との対比がとても印象的でした。悪化してどこを見てるかわからずボーっとしているシーン、アルツハイマーの方は実際そうなります。
今回初めて知った遺伝的(家族型)アルツハイマー、思い出してみれば亡くなった祖母もそうでした。父もそうです。もしかしたら自分も将来・・・と考えると個人的にはこの映画はホラーになります。
アリスの演説にあった「私は苦しんでいるんじゃない。戦っているんです。」という言葉、もしかしたら私の父も戦っているのかもしれません。こぼれ落ちてていく記憶と。自分達からはわからなくても。きっとこれからも父に対して腹を立てる事はあるでしょうし、嫌になる事もあるでしょう。それでも戦っている父と向かい合っていこうという気持ちになれた作品でした。長文にて失礼しました。
いたたまれない。
どのくらい実情に肉薄してるのかは分からない。
フィクションであってフィクションでない…そんな空気を感じてた。
アリスという女性がそこにはいた。
映画だという事を忘れそうになる。
生きて、戦って、そしてすべてを忘れていく女性が。
過去の自分が現在の自分に宛てたビデオレター…同一人物なのに明らかに別人だった。
目の輝き、肌の張り…これぐらい当然よと言わんばかりに澱みも気負いもなかった。
…拍手喝采。
国民性の違いが随所にあり、日本ではこうはならないだろうと思える事が、僕らの現実から、この事象を若干遠ざけてはいく。
…にしても、やはりハリウッドになると日本の女優ってのが、なんだか不可思議になる。
このアリスと同じような事、誰もやんないだろ?
第一線の女優だぜ?
ノーメークで生足出してんだぞ…。意識の場所が違いすぎるように思う。
おそらく、それが現実を想起させた一因であろう。
…寝起きでフルメークできてる女優に、なんのリアリズムを感じろというのか?
この国の芸能界は。
切ない
大切な記憶が薄れ無くなっていくのは家族も本人も悲しく切ないですね。
家の中でトイレを探すシーンは衝撃的でした。
少し残念だったのはアリスがおそらく家族に迷惑かけまいと自分の命を絶つように自分に向けたメッセージに家族が気付く描写が欲しかった。
アリスがそこまで考えてた事に家族に気付いて欲しかったですね。
ラストは唐突に終わった感じがして少し物足りなさが残りました数秒間の真っ白なスクリーンが記憶が消えていく様を表しているようで印象的でした。
大切な人と過ごした幸せな思い出は死ぬ瞬間まで絶対忘れたくないですね。
ジュリアン・ムーアを見つめる作品。
遺伝性(家族型)の若年性アルツハイマーを描いた作品。
言語学者が、言葉を、自分を忘れていく恐怖。
アリスの若年性アルツハイマーは遺伝性で、娘の一人に陽性反応がでます。
陽性反応が出たということは、100%発症するということです。
双子を産む陽性の娘は、どんな心境なのだろうか……?
描写はありません。
三人の子供はみんな良い子で協力的で、夫(アレック・ボールドウィン)も抱擁力があって裕福、家族の苦悩や介護の大変さは描かれないので、本作は主役のジュリアン・ムーアの演技を見つめなさい!映画だと思います。
ほら、ジョディ・フォスターの「ネル」的な映画です(私はこの作品から、ジョディフォスターの演技が鼻につくようになりました)
でもジュリアン・ムーアは本当に美しかった。
意識レベルが低下して、どこか別世界を漂うアリスの演技は、ジョディと違って(すみません)、自然で何も誇張せず、けれど丁寧で繊細で、観終わってもずっと心に残ります。
原題が「Still Alice」です。
言葉を記憶を失っても、それでもまだ「アリス」なんだ。変わらないんだっていう、中盤のアリスの感動的なスピーチに繋がる強い意志のあるタイトルです。
レリゴーに影響されたような邦題「アリスのままで(いたい)」が生む弱さ、残念過ぎます。
PS 二人の娘は、一人がクリステン・スチュワート 、もう一人が身体能力が高い「ブルー・クラッシュ」のケイト・ボスワースです。
ケイトの落ち着きっぷりに、びっくりしました!
アリスの介護。
怖い。いつ自分の身に降りかかってくるかもしれない病気だと
思えば思うほどに怖い。感動とか号泣とかそういう類ではない。
若年性アルツハイマーを描いた作品で今でも忘れられないのは
渡辺謙の「明日の記憶」なのだが、エリートサラリーマンが次々
と記憶を失っていく様子を克明に描き、それを懸命にサポート
する妻の奮闘と最後の二人の会話が衝撃に溢れていて辛かった。
今回更に驚いたのはこの病気が遺伝性であるということである。
今作ではエリート一家内で最も母親と親密な関係だった長女が、
陽性と診断される。長女は妊娠中だったため更に動揺が深まり、
てっきり長女かと思われた母親の世話は幾度も衝突を繰り返す
次女が受け持つこととなる。これまたリアル。実際の家庭でも
てっきり跡を継ぐかと思われた子供は離れていき、意外な子が
跡を継いだりする展開に親子で慄くというのはよくあることだ。
主人公アリスの記憶が失われていく過程がリアルで、ドラマ性
よりも淡々と進行していく変化がアリスの表情や体力に伺える。
本人すら意識しなかったほどの些細な物忘れが、病院の検査で
明らかにその兆候が見られると診断されてしまう恐怖ときたら
一溜まりもない!先生の質問に私もついつい挑戦してしまった。
そして何より肝心なのは、経済力と家族のサポートなくしては、
この病を乗り切ることはできないということだ。あんな別荘の
ような住まいで介護生活を送れることなど万人向けではないし、
独り身だったら誰に世話を頼んだのだろう、その際の費用は?
と色々気になる。その演出力よりも、J・ムーアの熱演よりも、
結局そこが気になってしまうのは、もう自身の親が介護生活に
なるかもしれない年齢に達していることもあるのだと痛感する。
知的な言語学者だったアリスだからこそ、自身と周囲の今後を
案じて遺したファイルを、記憶を失った自分が開こうとする際、
何度も階段を行き来する姿に(しかも嬉しそうに)こうなるのかと
思い知らされた。しかし講演で彼女が蛍光ペンを片手に話す姿は
立派で美しいと感じた。周囲の記憶に残るアリスの演説だった。
(介護の現実よりも本人の意思が中心の作品。タイトル通りかな)
主人公アリスの知的な部分がちゃんと分かる。 最後までアリスがアリス...
主人公アリスの知的な部分がちゃんと分かる。
最後までアリスがアリスでいられているのか、家族との関係はさほど変わらないし、悲しみがあり少し現実的。悲愴感を前面に出さないところは好感が持てた。時系列が記憶のごとく飛んで飛んで、見にくいあたりはまあ演出なんだろうが、話を追っかけづらいです。そこに怖さとか悲しさとか感じはするが、リアル過ぎて辛い辛い辛いてなる。大きく泣くものではない良作ではあります。
賢いアリスが賢いままでいられるか、最後の愛という答えになんとなくホッとできた。記憶を失くしても、アリスがアリスでいる事を失くさないですんだ瞬間もあるんでしょうね。
しかし、そこだけ見せられてもな〜となる。やはり大きく取り乱す事なく病気を受け入れていて、途中にアリスの身に起こるであろう悲劇の場面を抑えて描いてる分、やはり物足りなさと言うか、こんなもんじゃねーだろと思ってならない。
主人公はともかく、家族の描き方が少々不満
若年性アルツハイマーを扱った映画といえば、日本の『明日の記憶』が思い出される。
あの映画ほどのドラマドラマした描き方はしておらず、好感は持てるものの、どこかしら物足りない。
抑制の効いたジュリアン・ムーアの演技は評価できるものの、やはりドラマとしての、というかとりまく家族の描き方がもう数ショット足りない感じがする。
それはたぶん、アリスの病変は個人的な若年性アルツハイマー病ではなく、遺伝性の、というあたりにあるのだろう。
一男二女のうち、長男は遺伝的に陰性、次女は検査を受けず。
しかし、永年、不妊治療をしてきた長女は、人工授精前に陽性と判断される。
崑人的には、とてつもなく大変な状況だと思うのだが、映画はそこいらあたりの葛藤をほとんどすっ飛ばしている。
たしかに、映画の主たるテーマは、知識(記憶を含む)を拠り所としてきたアリスの、その拠り所がなくなっていくハナシなんだろうけれど、それ以外にも、やはり家族の受け止め方って大きいだろうと思わざるを得ない。
そこいらあたりの描きかたが、どうも不十分と感じてしまいました。
stillの意味
原題は「Still Alice」です。邦題は「アリスのままで」です。ここでの「Still」は「未だ、今までどおり」という意味を採用しているのかなあと推測しますが、映画を見て思ったのは、「それでも(やはり)、なお」という意味での「Still」ではないかなあと思いました。記憶を失っても、これまでの彼女でなくなってもそれでもやはりアリスだった、というほうが、私の鑑賞後に抱いた感想に近いように感じました。
ジュリアンムーアは「めぐりあう時間たち」「エデンより彼方へ」辺りからお気に入りで、その後のアクション、サスペンス以外の出演作は大体見ています。この作品での演技はオスカー受賞にふさわしいものだったと思います。
優秀な研究者で、コロンビア大学の教員で、家庭を立派に切り盛りする主婦で、3人の子の母で、夫とも冷めていない、スーパーウーマンだったアリスが、若年性アルツハイマーに侵され、記憶を失っていく過程と、それを目の当たりにする家族の物語なのですが、スーパーウーマンからだんだん遠ざかってゆく過程が見事に演じられており、引き込まれます。
大学構内で迷子になるシーン、トイレが見つけられなくて失禁してしまうシーン、発病後のスピーチのシーン、自殺用の睡眠薬がなかなか見つけられないシーンなどが印象的でした。
過去の望みどおり、一線を越えたら自殺するという望みさえ叶えられないほど症状が進んだアリスでしたが、外側から見ている分には、なにも覚えていられなくなってからの彼女がそんなに悲壮ではなく思え、次女に本を読んでもらって受け答えをするシーンをみて、記憶や経験をそぎ落としても、アリスはアリスのままじゃないか、と思いました。ひと時限りであっても彼女を彼女足らしめる感受性のようなものは確かに残っていると思ったからです。
家族の対応も、興味深いものがありました。医者(研究寄りっぽい)の夫は精一杯アリスに寄り添っているつもりだけど、変化を直視できず、仕事に逃げる。
弁護士の長女はアリスのアルツハイマー病遺伝子を受け継いでおり、そのことでの絶望(?)と、自身が母になったこともあり、母への対応は優先順位が低くなった様子。
多分医学生の長男は学業優先で特に何もせず。
結局は、発病前のアリスにはその選択が認められなかった、大学に進学せず西海岸で役者をしている次女だけが、発病したアリスの気持ちを慮り、寄り添い、最終的にはニューヨークに戻って母の介護をするようになりました。
夫、長女、長男が愛していたのは、スーパーウーマンの妻・母であり、そうでなくなった彼女を受入れられない様子を感じました。次女だけが、そうではなかった。皮肉だなあと思いました。でも、そんなものかも知れません。次女が人格者だっただけで、普通の人は夫や長女と同じ様な対応になるのでしょうね。明らかにお荷物扱いしていましたものね。
そして物語に引きずられるように、次女を演じたクリステンステュワートがとてもいい俳優に思えてきました。先週「アクトレス」でも見ていて、重要な役を続けてみたせいでしょうけれども。絶対見ることはないと思っていた「トワイライト」シリーズを、、、、、、み、観てみようかしらとまで思い始める始末。
夫役のアレックボールドウィンもよかったですけどね。長女役の人は高慢ちきな感じがして(演技ですけどね)すごくいやな感じがしました。エリートでない妹を非常にさげすんでいる感じとか、いやでした。
とてもいい映画だと思いました。
廃人の様になってしまうのでしょうか・・・
アルツハイマーって最後はあんな廃人の様になってしまうのでしょうか?
旦那も最初は素晴らしい事を言っていたけど、現実を目の当たりにすると、その通りには出来ないものなんですね。
彼女のスピーチが素晴らしかったです。
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