アリスのままでのレビュー・感想・評価
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悲しい。けれどあたたかい。
誰にでも起こり得る病気と支える家族の愛と葛藤を余計な演出をせず淡々とみせられた。
この映画を観たら自分だったら、自分の家族だったら、と色々考えない訳には行かない。
「STILL ALICE」に感じるそれぞれの想い。
オスカー系は
全て観るという信念のもと、
主演女優賞ジュリアン・ムーアの
女優力を楽しみにしていました。
原作は女流作家リサ・ジェノヴァが、
詳細な取材によって書き上げたベストセラー。
ほぼノンフィクョンに近いだろうストーリーも、
リアリティが好みの僕は、
期待せずにはいられません。
映画は若年性アルツハイマーである
ヒロインが一人称で描かれています。
その一人称を全て背負った
ジュリアン・ムーアは圧巻の名演技。
オスカー受賞は、やはり納得でした。
それに加えて
夫アレック・ボールドウィン始めとする、
サブキャスト陣の内面を描く演技が素晴らしい。
両者の対比する視点のバランスが、この映画の魅力でした。
俺がついていると妻に言っておきながら、
仕事のチャンスが訪れると妻の介護を娘に任せる夫。
結局長男でも長女でもなく、
定職をもたない次女が、夢を捨てて介護をする。
そんな数々のディテールに
とてつもないリアリティを感じました。
そうそう、
アレックは、
ブルージャスミンの名演も記憶に新しいですね。
酸いも甘いも経験してる男は、こういう役は抜群だな。
演出は王道で安定感があり、無駄が一切ありませんでした。
心情を表すカメラワークやフォーカス表現も絶妙。
監督の力を感じました。
自らもALS(筋委縮性側索硬化症)だった
リチャード・グラッツァー監督は、
この作品が遺作になってしまったようです。
とても残念です。
この題材でまず最初に思い浮かぶのは、
渡辺謙さん主演の名作「明日の記憶」ですよね。
やり手の広告代理店部長が
若年性アルツハイマー病を煩って、
あっという間に落ちていく。
秀作でしたが、
こちらの方が覚書や自分に残すメッセージ等、
共感するところが多かったです。
葛藤をメインにするのではなくて、
病気進行の過程でのヒューマンドラマが、
丁寧に描かれているからでしょうね。
優秀な人程、
進行が早い若年性アルツハイマーは、
その苦悩は計り知れないものでしょう。
記憶を失うということは、
自分が自分でなくなってしまうということ。
スピーチの中で、
「記憶を無くしていく中でも、幸せな瞬間がある」
その主人公の力強さに、感動せずにはいられない。
記憶はかけがえのない財産なのに。
果たしてそれを自分は受け入れられるのか。
身内がそうなった場合、どんな対応が出来るのか。
4人に1人が認知症にかかる日本。
決して人ごとではないテーマに、
いろんな立場の人が、
自分に投影して考えさせられる映画です。
最後の「STILL ALICE」のスーパーの意味は、
それぞれ想いが違うと思います。
自分なりに考えるは、
いいかもしれませんね。
おざなりな言い方だけど、
人生の気づきをもらえるのも、
映画の魅力のひとつ。
観るべき秀作です。
介護する家族の姿に自分を重ねて
まるで英語教材かのような明瞭なアクセントでスピーチをする大学教授のアリス。しかし、その彼女がアルツハイマーに犯され、徐々に記憶も発言も虚ろになっていく…。話し方ひとつ取っても発症前後のアリスのギャップをジュリアン・ムーアが見事に演じている。
だが、私がまだ30代であるためか、はたまた男性であるためか、病気と闘うアリスの姿よりも、介護をする彼女の家族、特に夫の姿に自分を重ねて本作を鑑賞した。
アルツハイマーと診断された妻を想う夫。「僕がついている」と力強い言葉でアリスを支えるも、徐々に進行していく妻の病状に次第に疲労と困惑の色が隠しきれなくなる。助けたい、支えたい、けれども、介護のストレスから生じるさりげない言動が妻を傷つけてしまうことがどれほど悲しいものか。「癌なら良かった」というアリスの言葉が介護する側の心に重くのしかかる。
この作品はきれいごとを述べていない。アリスの闘病はもちろん、家族や仕事との関わりも描き、あくまでもアルツハイマーと闘うある一組の家族の姿を描いていることに本作の価値がある。努力しても悪化していく家族の姿を見る事はどれほど辛い事だろうか。仕事と介護の両立が困難になっていく中、夫がある選択をするラストはアリスも望むものであったと願いたい。
自分が自分であるために。人生を考えさせられます
高名な言語学者が若年性アルツハイマー病を発症し、徐々に記憶を失っていくさまを描いた作品。第87回アカデミー賞主演女優賞と第72回ゴールデングローブ賞主演女優賞をジュリアン・ムーアが受賞しています。
ジュリアン・ムーアのアカデミー賞とゴールデングローブ賞の主演女優賞には依存ありません。物語冒頭の颯爽としたアリス、終盤の徐々に子供になっていっているアリス、その“二人の”アリスを、ジュリアン・ムーアが非常に上手く演じ分けています。とりわけ、表情ですよね。颯爽としていた頃は自信に満ち溢れた表情ですが、終盤は、自信なさげで戸惑っているような表情を示しています。
それにしても、若年性アルツハイマー病は容赦無いですね。実際の病気を、この映画で、どのくらい正確に描写できているのか判りませんが、どんどん病気が進行していって、ちょっと前まで何とも無かったことが今は出来ないなんてなっている。アリスが「私が私で居る間に」と言う事を言っていますが・・・、本当にそんな感じで悲しいです。しかも、自分が自分でなくなると、最後の“セーフティーネット”として準備していた装備品も使えませんでしたからねぇ。
いい作品です。何で上映している映画館少ないんですかね?
俳優陣が素晴らしい
アカデミー賞主演女優賞を受賞した
ジュリアン・ムーアはもちろんのこと、
アリスの家族を演じた俳優陣も
素晴らしかった!
プライドが高く、完璧主義の長女を
演じたケイト・ボスワーズ。
みんなに反対されてるものの、
夢を諦めない、いかにも末っ子な
次女を演じたクリステン・スチュワート。
今回は女優陣に賞賛を贈りたいと思う。
アカデミー賞の報を聞いて、絶対観ようと思ってたけど、ちょっと迷って...
アカデミー賞の報を聞いて、絶対観ようと思ってたけど、ちょっと迷ってた。
自分の身に、いつ起こっても不思議ではない事態。
自分が自分でなくなるなんて、怖すぎる。
アリスのスピーチに、家族の接し方に泣けました…
苦しんでるんじゃない、闘ってるんだ。
自分が自分のままでいられることの幸せを、噛み締めます。
でも、アリスにあるものが自分には決定的に欠落してる。
色々考えさせられますが、不思議と穏やかな気持ちになれました。
愛する夫と成人した3人の子供に恵まれたコロンビア大学の言語学の教授...
愛する夫と成人した3人の子供に恵まれたコロンビア大学の言語学の教授をしている50歳の非常に聡明な女性が若年性アルツハイマーになる話。
闘病ものなので徐々に病気が進行する中で主人公に次々と悲劇が起こって暗くなる…って感じを想像するけど、視点が主人公だからか、そこが強調されてはおらず、家族の関係の変化が印象的。
いくつも泣けるポイントがあります。実際、終わってからもすぐに立ち上がれない人も結構いたっぽかった。
昔からジュリアン・ムーアは好きな女優さんやったけど、ここまで大女優になるとは。良いわ〜。
映画を字幕なしで観られる英語力は確実にないと断言できるのだけど、美...
映画を字幕なしで観られる英語力は確実にないと断言できるのだけど、美しい言葉は不思議と字幕が無くても心に入り、涙が出る。ラスト5分、そんな体験を久々にしました。
『抜け落ちていく何か』
主演女優賞のジュリアン ムーアの演技はさすがで、それだけでもこの映画をみる価値があります。
個人的には家族の寄り添い方の変化がもう一つの見所ではないかと思います。わかりづらいのですが、そこに『抜け落ちていく何か』が描かれています。一見、献身的なのに冷たく暗くなっていく家族との人間関係や偽善者的な振る舞いやその表情の変化、そして全体を通して愛とは、人間としての尊厳とは何かについて静かに問い続けている姿勢に作品自体の質の高さを感じました。
いわゆる日韓映画で使い古された、お涙頂戴的な家族とのお別れストーリーを期待すると肩透かしを受けます。
僕は本当の意味で家族をちゃんと愛せているのだろうか。真っ直ぐ向かい合っているだろうか。自分に問い掛けてしまいました。
ココロに染み入る作品でした。
家族性アルツハイマー、っていうアルツハイマーの中でも稀な病気にかかってしまった女性教授の物語。
病気の怖さというよりも、記憶がなくなるのを自分は許せないけど、記憶のある今は精いっぱい生きること、病気にかかることはどうにもならないこと、っていう現実を静かに描いています。
単調なピアノの旋律もとてもいい。
トンデモ映画にも結構出てるジュリアンムーアだけどやっぱり名優でした。高慢ちきな女優の役もぶっとんでたけど今作は全編でずっぱり。アルツハイマーで記憶がなくなっていく様をさりげなくしっかりとみせてくれました。
いい作品でした?
いい映画だけと泣けなかった
泣く準備をして映画館で。
演技力があり、家族愛は伝わってきたけど、視点がどこから観ていいか分からず、感情移入できなかった。
それぞれの葛藤がある感じだけど、各自の想いがあまり伝わってこなかった。
昔観た韓国の頭の中の消しゴムも似た内容だったと思うけど、そっちの方がボロボロ泣けた。
難しい役どころだと思います。
今作品のジュリアン・ムーアが若年性アルツハイマー、エディ・レッドメーンがALS、今年のアカデミー主演賞は男女ともに難病患者を演じた役者が獲得したのは偶然なのでしょうか?
ただ主演女優賞のジュリアン・ムーアも男優賞に負けるとも劣らず、圧巻の演技でした。 難しい役どころだとは思います。
決してハッピーエンドでは終わらない悲しいストーリーですが、いろいろ考えさせられる作品でした。
意義深い
冒頭、ヤバい!つまらない映画かも…と思ったものの、エンドロールには目頭が熱くなっていました。なんどかそこからしょっぱいものが流れ出ていましたし─。
ジュリアン・ムーアは左で書いて、右で包丁使うんだぁ、普段あまり料理しないのかもね、する必要もないと思うし…あのランニングの仕方はどうなの?とてもじゃないけど習慣にしているようには見えないけど…
正直な話、最初はつまんないことばかり考えながら見ていました。これでオスカー女優なのかと疑いはしたものの、やっぱりオスカー女優だと最後には納得でした。
淡々と展開され、徐々に進行していく病状を淡々と演じている女優の凄さを感じました。知性ある強い女性が悲しいまでに弱々しい姿になっていく様を、ごく自然に演じきっていて、じわりと心に響きました。
内容、脚本も、とにかく素晴らしかったように思います。単に涙させようというものだけでなく、アルツハイマーの現実というものを、率直に、リアルに描ききっていました。この病気の解決策が早く見つかることを切に願うばかりです。そういう気持ちにさせるこの映画は、非常に意義深いものだといえるでしょう。
葛藤。
若年性アルツハイマー型認知症。
己の意思や能力では、どうすることもできない、自身を蝕んでいく、記憶や培ってきたものが、剥がされ落ちていく感覚。
変わりゆく自身と向き合うまでの、また、共存していく過程での葛藤。側にいる家族の苦悩。そして、この疾患と共に生きることや、真に理解し受け容れていくことの難しさ。
夫や子供、同僚を含めた社会が、それぞれどこまでのキャパシティーをもって包摂していけるのだろう?
個々の家庭での、また、社会での役割、自己実現、愛する人と過ごすこと。
限られた人生の時間の中で、人は何を優先していくのか?
パートナーとは普段から考えを伝え合っていかないとなぁ、と個人的に思いました。
人生は選択の連続だ。
自分の記憶に自信を持てないことは誰にでもある。でもそこには、自分の...
自分の記憶に自信を持てないことは誰にでもある。でもそこには、自分の代わりに覚えていてくれた人達がいる。
ノンフィクションであるこの映画は辛い面の方が多く、良い方に捉えることが難しい。素直に喜べるシーンも、「小さいことだが大切なこととして受け止めなさいと」
と聞こえる。
人が自分を失っていく姿をここまでリアルに感じてしまうのはジュリアン・ムーアの演技力だと感じました。良い映画です。。。だからこそ、怖い映画だとも思います。
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