「スティルアリス」アリスのままで ヨッシーさんの映画レビュー(感想・評価)
スティルアリス
クリックして本文を読む
病気を深く掘り下げていくというよりは、割かし淡々とアリスとその家族を描いている。
映画自体は、一番の問題児だと思われていた次女が強がりを言いながらも演劇の夢を実質上諦めて母と暮らす決断をし、“愛について”の戯曲の読み聞かせで終わる。
他の家族も決してアリスの事を思っていないわけではないが、自分の仕事や家庭の事もありアリスの介護を優先するに至っていおらず、(フィクションだが)映画で描かれている部分のその後が本人にとっても周りにとっても「地獄」なんだろうなと少し不安な気持ちでエンドクレジットを見ていた。
現実的には、ビデオメッセージの睡眠薬自殺が成功していた方が全員にとってハッピーエンドだったのかもしれない。
ジュリアン・ムーアは流石のオスカー演技で、彼女の感情の起伏にこちらの感情も大きく揺さぶられてしまったし、現実のアレック・ボールドウィンなら我慢できずにキレてそうだが、夫のおおらかな姿にも心を打たれた。
1つだけ文句と言うか、これは日本語字幕に対して言いたいことだが、エンドクレジットの際に、ずっとぼやけていた「STILL ALICE」という文字がクッキリと浮かび上がる演出がある。
これは劇中でもアリスの思考を表現するのに用いられていた技法で、とても効果的なタイトルコールだった。
そこに字幕でも同時に「アリスのままで」と出てきてかなりの興醒めだった。
この映画を見る層でそれを必要とする人間はいないだろ。
コメントする