「アルジャーノンに花束をのオマージュ作品?」アリスのままで うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
アルジャーノンに花束をのオマージュ作品?
ダニエル・キイスの傑作SF「アルジャーノンに花束を」
主人公の白痴が、脳に手術を受けて、天才になり、やがてもとの白痴に戻ってしまう。という作品。「まごころを君に」として映画化もされた。
主役の名がチャーリーで、恋人の名はアリスだった。確か…
ストーリーもよく似てるし、何らかのつながりがあるとしか思えない。
ま、それはそれとして、
以後、ネタバレ
自殺未遂事件は、当然家族の全員が知るところとなったのだろう。映画では語られていないが、アリスには常に付き添いが必要になったことで明白だ。
そこでどんな悲劇が繰り広げられたか知る由もないが、少なくとも、アリス本人はそのことすらもう覚えていない。実に哀れな、結末である。
そして、夫が仕事のためにアリスを娘に託し、別れを告げる時の無念と溢れ出る愛情の涙。アレック・ボールドウィンの静かな演技が素晴らしい。
この作品の意義は、病気と戦ったアリスの、それでも失われない物ってなんなの?という問い掛けだろうか。
自分へのビデオレターに、「あなたはよくやった。悪くない人生だった。」とねぎらうメッセージ。仕事で大きな業績を残し、3人の子を育て、十分に養育し、今や二人の孫に恵まれ、持たざる者にすれば、羨ましいほどの成功を収めている。
そして、娘からの質問に答えるアリスの、「愛…愛について」朧気につぶやくセリフが、この映画が本当に伝えたいことを強烈に語りかけてくる。
知識や教養、地位や名誉より、最後に大切なのは…
いろんなものを失ったアリスが、最後まで失わなかったもの。
2016.6.23
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