「涙が止まらない」アリスのままで 咲夜さんの映画レビュー(感想・評価)
涙が止まらない
この映画の主人公、アリスは若年性アルツハイマーという珍しい病気だということが発覚してしまいます。
もし、家族も職業も最高のものを持っていて、普通の日々を過ごしていたのに、「ある日突然あなたは若年性アルツハイマーです」と診断されたら。今まで積み重ねてきた大切な記憶が何年か後には全て消えて、なくなってしまう。そうなってしまったら、あなたはどうしますか。私は、私が私であるうちに。大切な記憶があるうちに死にたい。そう思います。
主人公アリスは、だんだんと大切な記憶が消えて無くなっていき、方向、単語、日常生活といったような、私たちが普通に行っていることが一人でできなくなってしまいます。
アリスは次々と消えてしまう記憶。すなわち弱っていく記憶力を「なくす技」という言葉を使ってスピーチしています。「どんなになくす技が上達しても、今日スピーチしたことを忘れたくない。」その言葉が胸に突き刺さりました。その後アリスは徐々に言葉を忘れてしまい、最後には抜け殻のようになってしまいます。自殺したくてもできない。誰かに自分の思っていることを伝えることもできない。いままで積み重ねてきた大切な記憶もない。こんなに悲しいことはありません。
若年性アルツハイマーとは本当に恐ろしい病気です。その人のいままで、そしてこれからの人生を全て一瞬のうちに失ってしまう。周りも辛いと思いますが、一番辛いのは自分自身です。アリスは、自分の中の記憶が消えていくのがわかる。と言っていました。どんなに忘れたくない大切な記憶も全て消えていく。怖いです。記憶がどれだけ大切なものなのか。
アリスのスピーチは本当に感動しました。スピーチから後半はアリスの記憶が無くなっていくのを前半より感じることができます。アリスのスピーチは、世界中の人々に聞いてもらいたいです。
長々と書いてしまいましたが、こんな言葉では表せないものが心に響いてくる映画でした。
私のおばあちゃんは、アルツハイマーです。
アルツハイマーを軽く見ていた自分が最低に思います。そんな、おばあちゃんと離れて暮らすお母さんは、実家に帰ると笑顔でおばあちゃんの介護をしています。実の娘のこともわからないであろうおばあちゃんに笑顔で介護しているんです。泣いているところを見たことはありません。本当思いっきり泣きたいと思うんです。
なので、より「still alice」という映画に感情移入してしまいました。
何度も言いますが、どんなに忘れなくない大切な記憶を一瞬で奪うアルツハイマーという病気について、本当に考えさせられる映画でした。