「爽やか受験ムービー」映画 ビリギャル えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)
爽やか受験ムービー
『ビリギャル』を鑑賞。
原作は塾講師である坪田信貴の「学年ビリのギャルが偏差値40上げて慶応大学に現役合格した話」
高校2年生で小学4年生並みの偏差値であったギャルさやかが坪田講師と出会い、慶応大学に合格するまでを描く。
さて、原作は様々な議論が交わされているようだが、それはさておき、映画としてはなかなか良く出来ている。
有村架純を採用した事もあり、ギャルはギャルでもとても可愛らしいギャルになっていて、目をそらすような悪行などもなく、お友達も友情溢れる良い子達である。
ただ少し派手な格好をした女の子達が夜遅くまでカラオケなどを楽しんでいるだけである。
元が実話らしいので現実には1年半ほどの時間だが、映画的には2時間でおバカな女の子を慶応に合格させねばならず、時間的な制約からギャルである事を強調している余裕がないのか、途中からそんな事は忘れてしまう。
合格するの為にひたすら努力を惜しまない受験生の姿に、そしてそれを支える親や友人の姿に観客は引き込まれていく。母親役の吉田羊も良い。娘が受験に目覚めなければトンデモナイ無責任親になるところだがそんな事は一切感じさせない見守りぶりで受験生の親に立場が変わればこうも見方が変わるものか。
とにかく勉強の出来ないギャルではあるが、現実にはあったであろう異性関係を一切排除する事によって、観客にマイナスイメージを与えず、爽やかな受験物語に仕立て、皆がわかっているはずの結末であるにも関わらず素直に感動できる作品に仕上がっているのは、有村架純の力に他ならない。
受験生のみならず、大人が鑑賞しても親の立場で楽しむ事ができるので、あまり実話だと考えずに鑑賞した方が楽しめるだろう。