「共感できない」映画 ビリギャル うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
共感できない
有村架純の花凛さと、吉田羊の存在感のある浮遊感。伊藤淳史の親しみ深いリアリストぶりなど、面白いキャラクターが集結したいい映画だと思います。
でも、共感できませんでした。
理由は、合格することがゴールになってしまっている。ということ。
これは、あえて映画で触れていないのかもしれませんが、「成績なんて悪くてもその気になれば慶応にだって合格するんだから」という、モチベーテーゼをすることで、多くの(特に同世代の)共感を勝ち取った結果、本当に大切なはずの、大学に行って何をやりたいのか?という部分をすっ飛ばしてしまっているのです。
若い時にありがちの、「目的意識の欠如」が、家族ぐるみで遂行されている(いや、積極的に周りの人たちも巻き込まれてしまっている)その失敗例として、野球に挫折する弟と、見事、合格する姉という対比で描いてありますが、果たして真の勝者はどちらなのか。
このギャルが、合格するために論文のテクニックを身に付け、合格可能な学部を選び、いわば「肩書き」を手に入れたあとに得るものは、ひとときの優越感と、目的の喪失ではないでしょうか。
なんだか、今の日本人の価値観を如実に語っているような、もし、そんな皮肉が込められているというのなら、そこに突っ込んで欲しかった。
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