「原作が文学賞?かなり残念なサスペンスでした。」罪の余白 年間100本を劇場で観るシネオさんの映画レビュー(感想・評価)
原作が文学賞?かなり残念なサスペンスでした。
子供が自殺や殺されて
親が復讐していく映画は、
これまでもたくさんありました。
古くはチャールズブロンソンの
名作「狼よさらば 」(1974)や、
ウィリアム・ディヴェインの
「ローリングサンダー」(1977)
など数多く作られてます。
最近の邦画でも「さまよう刃」や
「告白」がありましたね。
TVドラマ野島伸司作の
「人間失格・たとえば僕が死んだら」(1994)は、
息子を殺された親の狂気が
本当に怖かった。
そんな使い古された題材だけど、
文学賞を受賞した原作に
「衝撃の真実」
「究極の心理サスペンス」
というキャッチコピーに、
期待大で観に行きました。
教室のベランダから転落死した娘。
父が娘の日記を見つけることで
お話は転がりだすのだけど。
なんかストーリーに波がないんです。
罪の意識がない女子高生との一騎打ちも、
心理学の教授とは思えないダメっぷりで。
もっと凄い心理バトルが展開するのだと
思ってたんだけどね。
最後のオチも、
やっぱりそうするのねというカンジ。
なんか既視感があるんですよね。
ホントに原作は賞を獲ったのかしら。
それとも脚本や演出がダメなのかなぁ。
これは凄いどんでん返しがあるのかも!
と伏線を一生懸命拾っていた2時間は、
何だったのでしょう。
ダブルバインド(二重拘束)という
講義にも注目したけど、
うすーく関与してただけでした。
「罪の余白」というタイトルに、
負けているのでは。
ちなみに
舞台の女子校もよくないんです。
波打ち際に立ってる不自然な学校で、
(たぶんホテル?)
リアリティがないから、怖さが伝わらない。
校門で待っている父の背中で、
ザップーンだからね(笑)
役者さんは良かったですよ。
何とか飽きずに観れましたから。
父役の内野聖陽さんは
さすがな幅を見せてくれるし、
怖い女子高生は、なんと2本目の吉本実憂さん。
心の揺れ動くさまが繊細で、丁寧な演技でした。
ストーリーは怖くなくて
普通だけど、
役者さんの演技を楽しむには
いいのかなぁ。
正直劇場で観る理由が、
他に見当たらないですけどね。