「ヒトコワ系ならぬヒトキモ系」海にかかる霧 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒトコワ系ならぬヒトキモ系
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不況にあえぐ漁師たち。彼らは大金を稼ぐために、中国の朝鮮族密航に加担する。
嵐の中で船に乗せた朝鮮族の中にいた1人の若い女性、ホンメ。
彼女の乗ったその漁船は、はじめは上手くいくかに思えたが、次第に想像のつかない方向へと舵を切り出し…
う〜ん、キモいですね。
とことんキモいです。
そして、サラッと傑作です。
1匹のメスに群がるオスたち、漁船という密室&極限状態で繰り広げられる悲劇、弱者への圧制、庶民たちのヒエラルキーの形成と崩壊、止まらない負のスパライラル。
後半は、ポン・ジュノ脚本ともあって『パラサイト』みたいな韓国映画あるある展開だけど、意外に有り得そうな話だと思っていたら、実話「第7テチャン号事件」を元にした戯曲を映画化したらしい。
とにかく漁師たち男性陣がキモい。
最終的にドンシクは良い奴になっていたけど、言い寄り方は十分キモいゆえ、あのまとめ方には少し不満(ただし、同じ悲しみ苦しみを共有してそれが愛に変わるあのシーンでほぼ帳消し)。
何が1番気持ち悪いかって、あんな漁師たちも不況で苦しんでいる前提があるってこと。
「まあ、みんな大変だったから」で言い訳できてしまう。
苦しむ者が苦しむ者を虐げる、いじめられっ子のいじめっ子化みたいな胸糞悪さがある。
綱を巻く描写の対比による船長の変貌ぶりや、ボタンの掛け違いとなるターニングポイントの描き方など、映画としての出来も良い。
霧の使い方も上手くて、個人的には『ミスト』よりもミストしてた。
ってどういうことだ?
6年後の再会パートは蛇足かなとも思ったが、「目のあった子どもはドンシクとの子?」という考察にゾッとした。
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