「救出劇ありきで、脈絡すべてを捨てている」コードネーム:プリンス ビン棒さんの映画レビュー(感想・評価)
救出劇ありきで、脈絡すべてを捨てている
脚本の全てが主人公目線。
主人公のラスボスとして設定されたブルースウィルスとの間には、主人公側がラスボスの家族を爆殺するという、一方的に非人道的な因縁を設定。
主人公は罪の意識に夢で苦しむことはあるものの、幸せな家庭を築き、遊びに羽目を外しすぎて薬にまで手を出した自業自得のバカな娘を救出するために、罪に対するトラウマもジレンマもなく躊躇なく人を殺しまくる。
娘の救出だというだけで、次々と出来すぎな援助も得られ、娘も都合よく簡単に見つかり、結果救出できるのだが、すぐに脱出しない。ラスボスと対峙させるためだけであることはミエミエ。
案の定、ラスボスに拉致され最終ステージだが、ラスボスのステージがショボい、ショボすぎる。手ぐすね引いて待ち構えている場面なのに、人数が少なすぎる。人の配置もまばら過ぎて、各個撃破してくれといわんばかり。
主人公は陽動とか、潜入とか一切お構いなしに正面突破。
強いはずの部下も銃器を使わずに殴り合い、挙句あっさりと射殺される。
ラスボスは自分が味わった苦痛を主人公に報復したいはずなのに、娘には手を出さず盾として使うだけで、これもまた わりとあっけなく射殺される。
結局主人公はラスボスに対して、何の罪もない妻と幼い娘を無残に爆殺したことに対して、謝罪も後悔の言葉もなかった。そればかりか、お前が悪いからだと開き直る言動はいかがなものか。
主人公の理屈なら娘を殺されても仕方ないということになるのに。
無事救出。でも主人公は本来因果応報で娘を失うか、倒されるべきだと思う。
娘の命と引き換えに主人公が息を引き取るというラストでないと落ち着きが悪い。
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