「ラスト1分に詰まった作者の思い」ハン・ゴンジュ 17歳の涙 どいたまさんの映画レビュー(感想・評価)
ラスト1分に詰まった作者の思い
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本作は「密陽女子中学生集団暴行事件」という痛ましい題材を扱っている。
この事件で被害者達は身体的な傷や心の傷だけでなく大きな社会的重圧をも負わされてしまったのに対し、
加害者達は1度逮捕や送検をされたものの、誰1人有罪判決を受けることなく、前科もない状態で、韓国社会の中で普通の日常を送っている(Wikipedia参照)。
そのため、この事件の被害者の視点で描かれた本作は悲劇にしかなり得ない。そう描かなければ、実際の被害者に寄り添った語りにはならないためである。
本作のラストにおいて、ハン・ゴンジュが劇中で志す「水をめぐるある行動」の本当の目的が明らかになる。この場面だけで私の心はぐっと締め付けられ、この悲劇の物語の顛末に感情が揺さぶられた。
しかし、この作品の真の魅力はその直後、エンドロールの直前に「ハン・ゴンジュ!ハン・ゴンジュ!」という掛け声とともに描かれる映像にあると私は思う。
「この悲劇の物語の幕引きはこうあってくれ」という作者の思い、そしてハン・ゴンジュ自身が望む希望がそこには描かれている。
そしてそれは、彼女があと少しでも日常を取り戻せていれば、あと少しでも練習ができていればあり得たかもしれない未来でもある。
このラストに私は涙を禁じ得ない。
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