トイレのピエタのレビュー・感想・評価
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細かな心情をさりげなく、強く感じました。
野田洋次郎が良い。おそらく、役者じゃないからだろう。細かな心情を演じずに表現していた。鼻歌の威風堂々では涙が出そうになってしまった。最後まで悩み、見つけられた時はもう。。。大きな意味で多くの人の人生を象徴するような素晴らしい作品だと思いました。
それから、脇のリリーフランキーは効いてますね。
“生きている”という実感。芸術から問いかける異色作。
【賛否両論チェック】
賛:生きることも死ぬことも出来ずに悶々としていた主人公が、残された命を葛藤しながら歩んでいく様子が、切なくて歯がゆい。ラストの主人公のイラストにも圧倒される。
否:難しいシーンが多く、展開も単調なので、眠くなるかも。雰囲気そのものも、かなり好みが分かれそう。
健康な人にはなかなか分からない、“生きていることの喜び”が、余命わずかな園田の姿からひしひしと伝わってきます。そして、そんな園田を同じ目線から見つめ、対等な立場で物を言う真衣の飾らない人柄も、園田の哀愁をより一層引き立たせているような気がします。
ただ、結構難解なシーンも多く、描写もかなり淡々と進むので、途中で飽きてしまうこともありそうです。
芸術的な角度から“命”について見つめ直したい方に、是非オススメです。
希薄な生、濃密な死
もっと上映館が増えて欲しいと思う佳作である。
プールで泳ぐ金魚たち、そのオレンジがかった赤。一緒に泳ぐ高校生、真衣の姿。水の淡いブルー、水中撮影での残像がなんとも儚く美しい。
主人公は、ビルの窓ガラス清掃をしている青年、宏だ。アルバイトの身分だが、腕はすでにプロ級。
ぐらぐら揺れるゴンドラに乗り、高層ビルの窓ガラスを拭いてゆく。
高所恐怖症の人なら気が遠くなりそうだが
「まっ、落ちたら、死ぬだけだし……」と本人は割り切っている。
「社員になっちゃいなよ」と仕事仲間からは誘われている。
はにかんだように、「いいッスよ」と中途半端に返事する宏。
彼は美術学校の学生でもある。絵描き仲間でも、「えっ、こいつ意外に……」とおもわせる腕を持っている。だけど絵描きとして、世の中、生きて渡って行こう、という気概も覚悟もない。
宏はある日、職場で倒れた。病院で精密検査を受けてみる。
その結果を聞く日のこと。
医師からは家族と一緒に来るように言われていた。だが、郷里の父母を呼び寄せるほど、大げさなことかな、などと思ってしまったのだ。
そこで宏は、たまたま病院で居合わせた高校生、真衣に仮の妹になってくれるよう頼んだ。真衣と一緒に受けた診断結果は……
医師からは胃の悪性腫瘍と告げられる。即刻入院だ。
やがて、病気は進行し、転移する。医師からは延命治療をするのか? それとも残りの時間を有意義に過ごすのか? とまで言われる。彼はまだ28歳の若さなのだ。
真衣はシングルマザーの母と祖母の、三人で暮らしている。母は家事を気にかけていない。祖母は認知症だが、その世話を真衣に押し付けている。
介護の必要なおばあちゃん。彼女は嫌がるおばあちゃんをなだめては、シャワーを浴びさせる。
時には「ざけんじゃねーよ、なんで女子高生のアタシが介護しなきゃなんねーんだよ!!」と暴発したくなる。でも怒りは、おばあちゃんには向けられない。
真衣はある日、金魚を沢山買い込み、深夜、学校のプールに金魚たちを放つ。水の中、群れになって泳ぐ金魚たち。そして、自分も一緒に泳ぐ。溜め込んでいた様々な感情。
自由なんだよ。自分だって自由でいいんだ。真衣はそう思っているのかもしれない。
真衣は奔放であり、言いたいことをズケズケ言う。
余命いくばくもない宏に向かって「ねぇ、どうやったら死ねるの?」と無邪気に尋ねる。
真衣は自分の「生」の手触りを探ろうとしているかのようだ。
本作で特筆すべきは、登場人物たちが次に何をやるのか? 全く予想がつかないことである。
宏はやがて、病院を抜け出し、自分のアパートのトイレに壁画を描き始める。その様子をちょっとスケベな患者仲間、横田(リリー・フランキー)がビデオに撮る。楽しそうだ。実際ビデオに撮られながら、宏は微笑んでいる。
ようやく「生」の手応えを感じたような宏の微笑み。
本作の元ネタはあの、手塚治虫氏の病床日記であったそうだ。手塚氏が自身、胃ガンで入院していた時に書き綴っていた遺稿らしい。
キャスティングも秀逸だ。つかみどころのない、今時の若者を象徴するかのような宏(野田洋一郎)。ちょっと過激でエキセントリックな行動をする真衣(杉咲花)。そして、映画に登場するだけで和んでしまうリリー・フランキーの存在感。小学生の息子を、ガンで亡くす母親を演じるのは、宮沢りえだ。しかし、その生真面目な演技は、むしろ本作の中で浮いてしまっているほどだ。
本作は料理に例えれば、「素材の良さ」にこだわり抜いた逸品であると言える。俳優という素材の存在感で、映画を”ほぼ”成立させてしまっている。
淡々としたカットが続く中、決してドラマチックに盛り上げてやろうという、監督の映画作家としての下心は微塵も感じられない。
本作に登場する人物は、それぞれ「自分の生」に対して「生きている」という実感を持てない者達ばかりである。そういった人物像をあえて「いきいきと」演じない、ドラマチックには「描かない」ことで、映画作品を成立させる、というのは難しい事だろう。
今現在を「生きていない」と「感じられる」のは、その人が、実は生きていない、という風に「感じる」ことができる「感受性」を、豊かに持ち合わせている証拠でもある。
「自分はこのまま生き続けてもいいのか?」と、最近、私自身、問い続ける日々が続いていた。そういう時期に、出会った本作のみずみずしさは、私の身体に染み入るように感じた。
突き刺さった。単純に感動。食い入るように観れた作品。どよんとした重...
突き刺さった。単純に感動。食い入るように観れた作品。どよんとした重たい内容であるけど、演者がハツラツとエネルギーを感じれる演技だったと思う。自然体だからこその野田洋次郎。彼にピッタリな主人公、宏だった。杉咲花は渾身の演技って感じ。周りの謎な豪華キャスト。すげー狙ってる佐藤健の出演。大竹しのぶに宮沢りえ、そしてリリーフランキー。周りが実力者で固められてるのも良い所。ガンと宣告された若者。まさに現代の若者が周りの人達と触れ合ううちに自分を見つめてく。
雰囲気が好きだったな。野田洋次郎ファンであるから贔屓目で見てるのだろうけど、1人の画面アップに耐えられるカリスマ性を感じた。魂が乗ってるんすよね魂が。
たっぷりと作品に浸かれた。
全編通してうまい監督なんだろうな〜と思いました。
力の入った映画だった
どうやら主人公に死期が近づくらしい話やその主役以外が豪華なキャストなのでなんだか企画映画かと思ったら想像以上に真摯につくられた映画だった。
とはいえ、明らかに芝居は豪華キャストでない方のほうがよかったし、撮ってるほうも豪華キャストでないほうが活き活きとしていたのか、映画が活き活きしていた。しっかり絵を描いてるのも写してあってよかつた。
ほんとうにいい映画だと思う
わたしは原作から読んでいたのでとてもたのしみにしていました。
役者さんもとてもぴったりですし、なんといってもラブシーンがどうなるのか心配でした。でも、予想をはるかに超えて感動しましたし、泣けました。最後にはお客さん全員号泣していました。
プールでのシーンは撮影がとても大変だっただろうなと思いました。原作提案の手塚治虫さんに感謝です。
なんだこの映画?これはひどい。
まず主人公の役者がひどく大根すぎます。
調べたら主人公の演技をしているのは役者ではないとのこと。
それがかなりひどく感じました。
内容もありがちなお涙ちょうだいで、薄っぺらく感じました。なぜ主人公が最後にトイレにピエタを描くのがいっさい説明が無くてポカーンとした。
あの流れなら普通に紙に描けよと。
無理やりタイトルに合わせてトイレに描かせようとしたことが丸わかりで白ける。
この映画は手塚治虫の娘が酷評したとのことですが、なぜ酷評したのかはよく分かります。
トイレのピエタ
初めて劇場で一人映画した。一つ席を空けて隣の女性が開始30分も経たない頃からずっと泣いてたけど私は泣きポイントが分からず、比較的感情的な方だと思ってたのに泣けない自分は冷酷なのか何なのかと…。でもよーじろー演じる宏の言葉一つひとつ、動作の一つひとつが映画の終わり宏の人生の終わりに向かってとても重みを帯びていくのを感じた。画家を諦め世界を諦めていた主人公が不運にも癌になり、世界を恨み運命を恨み…そんな中で初めてプライベートなスペースをズカズカ犯して、心の琴線に直接素手で触れてくる真衣や田中さんという人間と出会う。嫌がる宏だったが彼女らのお陰で徐々に事実を受け止め人生に向き合っていく。宏が命を削って描くトイレのピエタ。とても深かった。田中さんのカメラに残っていた宏の生の軌跡。最期の言葉。真衣の横顔が映って画面が真っ暗になりエンドロール。歌に入った瞬間、自分でも何でだか分からないけど涙が溢れてきました。久々にしゃくりあげる程に号泣。それは「もっと生きたかっただろう」とか「苦しかっただろう」とかからではなく、よーじろーとこの映画が溶け合った繊細な綺麗さに心が身体が震えたからです。終わった後は主題歌"ピクニック"を聴きながら余韻に浸って帰宅。誰かと映画について語り合いたくなる気持ちもあるけど、胸にずっと秘めておきたくもある、そんな映画でした。
はじめてしがみついた この世界の袖
振り払われようとて 握りかえしたよ
僕らは奇跡にも 及ばない光
それならいっそ僕ら それならいっそ僕ら
一個人の意見
自分は好きな作品。
最初はあまり入りにくく感じたが後半からどんどん引き込まれた感じがしました。最後には主演の野田さんが本当に亡くなってしまったのではないかと錯覚するほどでした(笑)また、ヒロインの花さんの演技がすごかったです。怒鳴り声をあげる箇所がいくつかありましたが、迫真の演技でした。
友達や恋人と行くのではなく、一人映画にオススメします
俳優の感じがよい。
主演の男女もよいし、脇もいちいちよかった。
昔の恋人は、何ともエロい感じだし、「変な服」とのデキてる感もよいし、窓ふきの女性の同僚も、ボケたおばあさんもお母さんもリアルでよかった。
ストーリーがいまいちだが、トータルで見ればよかった。
良かった~!
これは彼だから活きた映画、まるで彼の生活をみてるみたいなリアル感
全編に拡がる脇役の華、大切に作られてる。画家を目指してたのに挫折、病気にならなくても死んだような日常、孤独な少女とのふれ合いで生きる意味をしる。
気になっているのに上映映画館が少なく、悩んでいたのですがお台場の用...
気になっているのに上映映画館が少なく、悩んでいたのですがお台場の用事のついでに見てきました。
時間と場所もあってか、スクリーンにはなんとわたしを含めて観客は2人。
ですが映画の内容は、本当に、今この映画を見ている人がこれしかいないのは明らかにおかしい、と思える内容でした。
テーマははっきりとしているのにメッセージを押し付けてこない構成や、役者さんたちの自然で繊細な演技、思わず息を飲む空気感のシーンの数々…
苦しくなるくらい、素敵でした。
たくさんの人に見てもらって、たくさん感じてほしい、映画でした。
格好つけた映画だなー
主人公が終始格好を付けた感じで、それに呼応するかのように絵づくりも斜に構えた印象を持ちました。
個人的にはこのような格好の付け方が割と好きなので、最後まで好ましい映画として観賞できました。
ただ、展開に不自然さを感じてしまったのが残念なところ。例えば出会いのシーンのほとんどが有り得ない偶然さというか不自然さで、リアルな世界の中での物語故に、もの凄く違和感があったと思います。差し込まれるイメージ映像とか音・全体のストーリーが凄くいいなぁと感じただけに、もったいないなぁと思ってしまいました。
作品自体は好きな部類。しかしながら、受け入れがたいと思う人もたくさんいるだろうと思ってしまいました。
杉咲花さんと真衣
この間、主演の杉咲花さんについてのインタビュー記事を読み その記事が私にはとても心に残った。
彼女は最初のオーディションで監督に演技が下手と言われ泣いた言っている。
相手役の野田さんからは 花は真衣じゃないと、
彼女は女優なのだからそれぐらいのことはこれから先ずっとある事だし 当たり前のことだが
私にとってそこまで言われてもなお作品に出演しインパクトのある人物として出た彼女の意思 行動をとても眩しく うらやましく感じた。
また、バライティーなどで出てくる彼女は凄く大人しそうで声も小さい。
だが演技となるとまるで別人のように 思いっきり演技をする、みていて気持ちよくなる。
そんなところが凄い。
作品のなかで何度も声を強くあげ自分の気持ちをだしあう反面学校や家では違った色を持つ真衣。
真衣は宏と出会い何を見つけ変わったのか、そんなことを思ったり。
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私にはトイレのピエタの本質を理解し伝えるだけ気力はないし 杉咲花を中心に作品に携わった人の気持ちを知る努力も出来ない。
だがこれだけは伝えれる、伝えたいと思う
真衣は杉咲花にしか表現が出来ない
宏は野田洋次郎にしか感情をぶつけれないと私は絶対思う。
後悔している劇場は限られているが 是非多くの人に足を運んでもらいたい作品だ。
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追伸
トイレのピエタの本を買って二度目のピエタを観に行った。
本だとあたりまえだが 映画にはない セリフや状況がたくさん詰まっててとても面白い。
改めて好きになった シーンは 真衣が病院食をパクパク食べた後 宏の顔をじーっとみて色んな角度から見て最後に一言。
あのシーンの真衣が大好きだ
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