カプリコン・1のレビュー・感想・評価
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実は陰謀とは関係がない凄腕の交渉人が登場する
総合:70点 ( ストーリー:60点|キャスト:75点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
国家が運営する大計画を国家ぐるみで誤魔化すならばまだわかるが、たかだかナサの計画責任者ごときがこれだけ大きな誤魔化しをして隠しきれるわけはないだろう。宇宙船は常に他国からも含めて行きも帰りも電探で追跡されるだろうし、公開される火星の映像は世界中の専門家が分析をするし、宇宙からの無線もその電波の方角も含めて世界から受信されるし、設定上のそういう技術的考証が出鱈目すぎる。それに正しいことをしていなくて後ろめたい時の情報は、大規模な組織であれば内部のどこから漏れるかわかったものではない。最初は専門的技術考証を無視したこのくだらない設定にかなり呆れながら観ていたし、面白いものではなかった。
面白くなってきたのは後半の記者の調査と自らが抹殺されると予想しての宇宙飛行士の脱出劇からで、陰謀を感じて調査していく記者と宇宙飛行士がどうやって逃げていくのかの部分は緊張感があった。陰謀を描いた作品としては面白くないが、逃亡活劇としてはそれなりに面白い。
それでもわずか2機の回転翼機と農薬散布機だけで軍も記者も広い砂漠から宇宙飛行士を簡単に見つけるし、爆音のする回転翼機が近づいても気が付かず隠れることもしない宇宙飛行士の行動はあり得ないし、このあたりも技術的考証が安直だとは思った。それから捕まった2人の操縦士は殺されたのかどうかが気になる。
登場人物で一番好きなのは農薬空中散布のA&A Crop Dusting Serviceの経営者兼操縦士のアルベインで、自分がこの会社の責任者だということを知らせるだけにどれだけ駆け引きがあるのかという部分だけでも自分のやり方に時間をかけて巻き込んでいくのが良かった。だがさらにその後の料金の交渉が25ドルから100、125、さらには追い込まれた状況で強盗した金額の1/3から最終的に半分にまで分け前が上がっていくのがまた痛快だった。
さらに彼はおんぼろ飛行機を操縦しながらの軍隊の回転翼機との機銃を撃たれながらの空中追跡劇に全くひるむことない操縦士である。私の予想ではきっと第二次大戦か朝鮮戦争の実戦を経験した操縦士の生き残りだろう。
アルベインはとんでもない凄腕の交渉人であり度胸の据わった技術のある操縦士でもあり、砂漠のしがない農薬散布操縦士にしておくのは惜しい爺さんだった。彼の存在だけでも観る価値がある。結局料金はいくらで折り合いがついたのだろうか、しっかりと交渉の結末まで見せてほしかった。
とてもよかった
ストーリーはつまらないのだけど、場面場面がいちいち見応えがあって引き込まれた。車のブレーキが効かなくなるアクションや、クライマックスの飛行機とヘリコプターの対戦がすごかった。捕まってしまった二人の宇宙飛行士は殺されてしまったのだろうけど、そこを描かないところがむしろ怖かった。
記者に協力してくれる女がお金を貸してくれて、かっこいいスポーツカーまで気軽に貸してくれるのがよかった。いいな〜と思った。
あれだけ優れた技術があれば人を簡単にだませるって
映画「カプリコン・1」(ピーター・ハイアムズ監督)から。
1977年アメリカ・イギリス合作映画であるが、
「こちらカプリコン、(火星)着陸成功、いよいよ火星に到着だ」の通信が
地球のある場所で、大掛かりにでっちあげられていたなんて考えたら、
今まで私たちが信じていた、月面着陸は本当だったの?と
本気で「月の石」を疑ってしまう私がいた。(笑)
今回の設定は「有人火星宇宙船カプリコン1」だけど、
私たちが子どもの頃から信じていた「アポロ計画」も、
もしかしたら・・と感じてしまうのも無理はないことだ。
科学技術が、当時より数段進歩したにも関わらず、
今の時代の方が、なぜか「月面着陸」は難しいという話も耳にした。
乗組員のひとりは妻に、(映画のセット、撮影技術を駆使すれば)
「作り事の世界が本物にみえる」と呟いた台詞を思い出させ、
「あれだけ優れた技術があれば人を簡単にだませる」って、
夫婦でしかしらない会話も思い出させる。
以前紹介した映画「アポロ13」も、映画と知らされず、
あの打ち上げシーンを流されたら、きっと全世界が信じるだろう。
「こちら、ヒューストン。全て、異常なし」のフレーズも、
いつも同じ声だし、疑ってみなければ、といけない気がしてきた。
宇宙情報に限らず、今、テレビで放送されているような画像も、
変な意味ではなく、一度、疑ってみる必要がありそうだ。
でもそれに気付くと、闇に葬られてしまうので、注意しなきゃなぁ。
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