劇場公開日 2016年1月9日

「トピックやテーマは良い。ただ…」いしゃ先生 まりぽっささんの映画レビュー(感想・評価)

3.0トピックやテーマは良い。ただ…

2020年7月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ディテールの描写が無く、映画としては物足りない。

昭和初期、女性というだけで医師として住民に受け入れてもらえない時代、ワンピースを下着のようで下品と言われる田舎の村、そういう場所で生涯を村民のために捧げた尊い女性医師のお話。
この時代に「命は平等」であるとして、貴賤を問わず医療が受けられる世の中を目指した先進的な人物で、彼女の姿勢は現代においても尊敬に値する。

そんな彼女が故郷の村へ帰ることになった理由は本人の希望によるものでもなく、任期を終えても村に残ることにしたのも、キッカケあってのことだった。
大きなことを成し遂げた人が、必ずしも人生望み通りに生きてきたわけではない、一つの例を見せてもらった。
与えられた場所で、自身の出来ることで社会に貢献することの尊さも教えてくれる。

一方、描写が少なく複数の疑問が残る。
・村八分のような扱いを受けていたところから村民の信頼を得るまで、(初期の?)無料診察以外に何があるか
・無料診察はいつまで行っていたのか、診察料を払ってもらうようどのように村民の理解を得ていったか
・無料で診察を続けるなか、薬や注射などの出費についてどうやりくりしていたのか
・第二次大戦という、どう考えても大変な時期を過ごしたと思われるが、その頃の村はどうだったのか。医師としての苦難は無かったのか
etc...

確かに描かずとも映画は成立するかもしれないが、終始淡々と事実だけが羅列されている感じで、主人公の心理描写が少なく、物語に入り込むには物足りなかった。
その役割を「手紙」が担っているかのようにも思うが、複雑な心境までは描かれておらず、読み取るには足りない。

結果、個人的に最も感心したのは、映画よりも平山あや。
バラエティアイドルの彼女しか知らなかったが、ちゃんと女優だなと思った。

まりぽっさ