劇場公開日 2015年10月10日

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「シンプルだが深いかも。ものや心の喪失感。」先生と迷い猫 ななまがりさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5シンプルだが深いかも。ものや心の喪失感。

2015年10月17日
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鑑賞方法:映画館

笑える

単純

幸せ

あの迷い猫は、各登場人物のひとつの日常の象徴的存在かな。普段は何気ないものでも、大切なこと、ものは、けっこう多いかもしれない。

その迷い猫がいなくなって、物語が動く。

あの校長先生は、亡き妻を思い出すから、妻が可愛がっていたとはいえ、家に入ってくるその猫を追っ払ってしまうのだが、愛する妻を亡くしての影響なのか、妻に対してだけではなく、愛しみ、寂しさ、悲しみといった、なんか人間が持つ感情の一部まで忘れてしまった印象を持った。

今思うと、バターの変化が理由で不味いと指摘するぐらいの常連でもある冒頭のパン屋でも店を畳むと聞いても、表情が動かない。

もともと変わり者らしい。
もちろん、普通の日常会話は、何も特に問題ないのだけれども。

イッセー尾形がうまく演じているから、仕草や間が可笑しかったりしているが。

生ある限り、いつかは、死ぬ。だが、それまで当然生き続けていく。メソメソばかりしていられないが・・・・、
最後、迷い猫捜索に疲れはてて、家の玄関で、座り込みながら、亡き妻との懐かしい会話の回送シーンが流れたので、少しは失ってしまった感情が取り戻せたのかなと思いながら、劇場を後にした。

ななまがり