劇場公開日 2015年4月25日

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「映画史に刻む」Mommy マミー Hiroki Abeさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映画史に刻む

2015年5月29日
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まずは、何と言っても画面構成が綺麗だ。ドラマの中に埋め込まれた芸術性の高い構図は、そこまで意識させないちょうど良い塩梅で、ドラマを形作る重要な要素になっている。
そして、音楽。ドランと言えば選曲が上手くオシャレで有名だが、今作も間違いない、いや、今作こそが、その手腕を最も発揮されているのではないだろうか。
芸術性の高い構図にオシャレな音楽。これだけを聞けば、青臭くわかる人だけわかればいいなんて宣う、逆にクソダサい映画を予想してしまうが、そうならないのがドランが若き天才だといわれる所以だ。
才能あふれる俳優陣を牽引し、解釈が分かれる難しい問題を、親子の普遍の愛にまで引き上げている。ちゃんと物語が、主題が先にある。
スクエアという狭い画角の中で繰り広げられる、狭い世界の物語。スクエアからビスタになった瞬間は永遠に語り継がれるべきだと思う。
その昔、故伊丹十三監督がマルサの女を作る際に、画角をスタンダードにしたのを思い出した。
是非とも映画館で見てもらいたい。

Hiroki Abe