劇場公開日 2016年4月23日

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「ただの娯楽映画ではない、ピリッとした辛味を持つ名作。」ズートピア たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ただの娯楽映画ではない、ピリッとした辛味を持つ名作。

2019年7月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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動物たちが人間の様に暮らしている世界「ズートピア」を舞台に、ウサギの新人警官ジュディと、成り行きで彼女に協力することとなったキツネのニックが、とある事件の解決に向けて奮闘する、3DCGで描かれたコメディ・アドベンチャー・アニメ。

ジュディが所属するズートピア警察署の署長、ボゴの声を演じるのは、「MCU」シリーズや『パシフィック・リム』の、名優イドリス・エルバ。
ズートピア市長、ライオンハートの声を演じるのは『スパイダーマン』シリーズや『セッション』の、オスカー俳優J・K・シモンズ。
行方不明になった夫を探すカワウソの女性、オッタートン夫人の声を演じるのは『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』『スノーピアサー』の、オスカー女優オクタヴィア・スペンサー。

👑受賞歴👑
第89回 アカデミー賞…長編アニメ映画賞!
第74回 ゴールデングローブ賞…アニメ映画賞!
第44回 アニー賞…脚本賞と長編アニメ映画賞を受賞!✨
第22回 放送映画批評家協会賞…最優秀アニメーション作品賞!

2010年代のディズニーアニメーションにハズレなし!
ディズニー黎明期より続く動物擬人化アニメの流れを汲む伝統的な作品であり、その可愛らしいキャラクターがドタバタと活躍するだけでも楽しい。

体毛の質感まで表現したキャラクター造形は流石の一言。
ズートピアの街並みも色彩豊かで美しく、その美術を観ているでも非常に満足感がある。

この作品の素晴らしい点は、一見子供向けの作品でありながら、差別問題や社会格差、ジェンダーの問題などを含んでいるところでしょう。
多種多様な動物の擬人化は、明らかに人種やそれについての固定観念を比喩しており、実写で表現すると説教くさくなってしまいそうな物語をアニメーションとしてうまく落とし込んでいます。

主人公のジュディも、ただ正義感に燃える新米警察というだけではなく、その待遇に悩み、深層には肉食動物への恐怖心からくる差別意識を持っているという、小型草食動物であり、なおかつ男社会で働くビジネスウーマンとしての複雑な心境をスマートに描ききっています。

物語を進めていく中で無理のないようにズートピアの多様な街並みを紹介していくところには脚本の妙を感じるし、黒幕がだれなのか終盤までわからないところはサスペンス作品としても秀逸。

ジュディとニックのバディ作品としても素直に面白く、続きがあれば是非観賞したいと思わせてくれる、楽しいだけではなく、教訓も含んだ名作です!

ただ、気になった点もあり…。
駐車禁止取り締まりも立派な仕事だよ!新人なんだから雑用から始めるのは当然だろ!
あと、あの世界の肉食動物は何を食ってんの?虫?魚?その辺りに関しての描写が一つでもあればスッキリしたのになー。

日本語吹き替えはなかなか良かったですが、ガゼルの声がドリームのアミだったのは明らかにミスキャスト。

綺麗に収まってはいるものの、エモーションを爆発させてくれるようなインパクトのあるシーンが欲しかった。
十分名作なんだけどね。

たなかなかなか