「失望を希望へ。」ズートピア ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
失望を希望へ。
ユートピアをズートピアとかけ擬人化した動物社会の問題に挑む。
ほぼ連日起きている世界問題(差別、テロ、いじめ、ドラッグなど)
を多極化してひとつの世界で置き換えているが、これがかなり身に
堪える出来事ばかりで、お子様にはこれからの、大人には今現在の
ありとあらゆる問題点が(駐車違反も含めてですよ^^;)浮き彫りに。
小さなウサギ警察官の夢~成長物語でもあるのでお約束感はあるが
天下のディズニーさんが相当のチャレンジをしていることは明らか。
シュールでブラックな描き方には気合が入ってきているアニメ界も
これだけズラリと犯罪を並べたてサスペンスにしているのは珍しい。
ゴッドファーザー宜しく暗黒街のボスも出てくるが(小さいけどね)
そいつらが起こす問題よりはるかに根深いのが弱小市民の恨み辛み
であることが分かる後半、そうか!コイツか!と判明する真犯人の
言葉一つ一つが重い。まるで他人事ではなかった問題に首を突っ込
んだ新米ウサギと詐欺師キツネだが、得てして自分たちにもそれが
降りかかってくるという悲劇が出色。そもそも草食動物と肉食動物
が仲良く暮らしている高度文明社会などウソくせ~としか思えない
ように問題点は分かり易いが、ではその高度文明社会に暮らす人間
とて解決に至っていないそれらをどうするつもり?が拭い切れない。
新米ウサギの夢「皆を仲良く纏めるはずだったのにバラバラにした
私にはこの仕事を続ける資格がない」が身につまされて泣けてくる。
同じような台詞を責任逃れで使い釈明や辞任会見をする誰かさん達
にどれほどの失望感があるのだろうか。号泣も土下座も違うよねぇ。
(吹き替えに違和感なし。そして農業も立派な仕事だからね、大切な)