「綺麗な多重構造」ズートピア ゆるさんの映画レビュー(感想・評価)
綺麗な多重構造
さすがというか、構成がものすごく綺麗で分かりやすいです。
あらゆる年代、バックグラウンドを持つ人に対応できそうな、素晴らしいエンターテイメント作品だと思います。
今回も音楽はさすがといった感じで、場内に流れ始めた瞬間、開放感に包まれました。
以下ネタバレ含む感想。
メインテーマはうさぎに現れていた
『世界は多義的なので一概に良くすることはできないが、個人が良くあろうとすれば結果的に世界もよりよく変わっていく』ということだと思います。
そのテーマをしっかりと描きながら、
・ステレオタイプへの危惧
・幼少期の体験と個性の生成の関係性
・社会的強者と弱者のうつろいやすさ
・報道メディア批判
などへも、コメディのフィルターを通してさりげなく言及されている。
さらに過去作のパロディーなど、笑いへの配慮もしっかりとなされています。
明確にどこまで気づくかは見る人によるかと思いますし、
社会や文化によって見え方も変わってくるのでしょうが、
ぱっと思いつく範囲でもこれだけのものを分かりやすく描いていることに脱帽です。
うさぎは本当の意味での子供、狐は現実を知らしめられた大人として対比されているなかで
もう一つの大きなテーマである『try everything』というメッセージは
ディズニーからあらゆる年代へ向けられたエールなのだと思います。
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