「シビアな現実と見忘れていけない夢や希望…その両方を伝えてくれる今のディズニーは無敵だ!」ズートピア 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
シビアな現実と見忘れていけない夢や希望…その両方を伝えてくれる今のディズニーは無敵だ!
ディズニーアニメ最新作は、動物タウンの陰謀を新米警官ウサギと詐欺師キツネのコンビが暴く、というファンタジー。
最初はまるで興味が無かった。
擬人化された動物アニメなんて新鮮味無いし。
所が、ロッテントマト支持率100%(全米公開直後、現98%)という異常なまでの高評価に気になり始め、相次ぐディズニーアニメ最高傑作の呼び声をならば確めてみようと見るに至った。
ジョン・ラセターがエグゼクティブに就任して覇気を取り戻した昨今のディズニーアニメでお気に入りなのは「塔の上のラプンツェル」と「シュガー・ラッシュ」なのだけど、それらに匹敵。
ディズニーアニメ最高傑作は大袈裟かもしれないけど、歴代の名作にも劣らない好編!
とにかく、ストーリーや設定やメッセージが素晴らしいのだ!
相次ぐ肉食動物の不審な失踪。それにはある陰謀が…。
伏線も張られ、ミステリーとしても上々。
完成度の高いストーリーに引き込まれる。
“ゴッドファーザー”な○○、ディズニーの有名な“小鹿”などパロディやオマージュも楽しい。
肉食動物と草食動物に分かれていたのは遠い昔。
進化し、動物たちが隔てなく暮らす理想の街、ズートピア。(動物園=ズーと理想郷=ユートピアを掛け合わせた造語も巧い)
ジャングルのような湿地区、北極のような寒地区、ネズミらが暮らすミニチュアサイズの小さな町など様々。
動物たちも個性・本能が活かされたキャラ作り。
農場を営むウサギ、屈強な動物は警察、中でも、免許センターのナマ…ケ…モノ…には…ゲラ…ゲラ…笑っ…た(笑)
主人公のジュディはウサギ初の警官になろうとするのだが…
夢を抱いて理想の街にやって来たジュディ。
が、そこで突き付けられた現実…。
田舎から都会に出てきて同じ思いを抱く人たちは少なくない筈。
様々な種類の動物たちがひしめき合うズートピア。
我々人間社会も様々な人種が存在する。
そこで生じるのが、偏見や差別。
ウサギ故体が小さいジュディは警察内でも全く相手にされない。
ひょんな事からジュディと行動を共にするキツネのニック。
キツネ=卑しい奴と思われており、それだけで敬遠される。
例えば、○○人というだけであまりいいイメージを持てないのと同様に。
かつてはニックも夢や希望を抱いていた。偏見が彼を卑屈にした。が、ジュディとの出会いで再び…。
ニックにズートピアの姿そのものが込められている気がした。
ジュディとニックの種族を超えた友情もそつなく。
話が進むにつれ、ある陰謀がズートピアの均衡を崩し、差別を生む。
見えてくる善人者の仮面を被った偽善者の腹黒さ…。
本作は、動物の姿を借りた我々人間社会の縮図だ。
可愛らしいキャラ、楽しそうな世界観、美しい映像から子供向けのように思うが、子供は勿論、大人こそ魅了する。いや、マジで!
夢や希望を見忘れてはいけない。
でもあまり見過ぎると、躓き、傷付くのはアナタ。
そんな厳しい今の世で、自分には何を出来るか。
もうただの夢見話だけじゃない。
シビアの中にしっかり現実を見据え、自分を奮い立たせる勇気、夢、希望を伝えてくれる今のディズニーは無敵だ!